思いのほか、面白かった。
本書所収の5本の論考は、04年5月の皇太子による「雅子妃の人格否定の動き」発言に端を発した騒動を通じ、皇室が直面している困難を描き出す。
本書には、出来事の進展に並行して考えが深められた趣がある。というのも、上記発言直後の執筆らしい第1章は問題を皇后と皇太子の関係から捉え、一応完結している。そして、まだ掘り下げが浅い印象を受ける。
ところが同年末に天皇から皇太子への苦言が公表され、これを受け著者は「父-子」の観点から問題を捉え直す(2章)。その後、秋篠宮・紀宮の発言等も報道される中、さらに皇后と皇太子妃の結婚のあり方を対比させる視点から論じ直す(第3・5章)。最後に本書を編むに当たり、著者は皇后・皇太子妃の対比を核心と見定めて第4章「正田家と小和田家」を書き下ろし、書名にもその結論を反映させたということではないか。
著者の言葉遣いはあくまでも皇族方に対する敬意を失わないが、「やんごとない」人々を生育環境や世相から分析していく視線は、むしろ無遠慮と言うべき。皇后の教育方針をダンチ族や核家族化、育児書から論じ、天皇を疎開世代と特徴づけ、皇太子妃を男女雇用機会均等法と関連付ける。さらに皇太子妃が父方から継承した「刻苦勉励」の美徳に、「至尊になる方にふさわしいものなのだろうか」と疑義を投げかけたりもする(p116)。
本書には関連する会見記録等を再録した、字数にして全体の1/3以上もの「巻末資料」が収められている。本文読了後には、不思議にこれもキッチリ読みたくなる。