東西の美について歴史的考察がなされているが、ここでは日本の美について目を開かれ腑に落ちたことなどについて記す。
.「美」とは、きれい、痺れるような、息をのむ、「在る」という叫び声、「はっ」と思うような大いなる生命に巡りあう。(感情ではない。その時主体はない)
.「いま、ここ」に、流れる時間を切って捨てて、脱落して新しく生まれ変わる。そしてそれも脱落する。呼吸がそれ。
.さやけさ、わび、幽玄、数寄、粋を貫いているものは同じ。「無所住心」のこと。
.「間」。人間の肉体の中には、私たちが知らない深い秩序がある。大いなる存在(いのち)が隠れているということへの信頼がある。そしてそれは現実への深い信頼感につながっている。
.具体として「時の音を取る」という言葉がある。その時間が特に持つ深い寂しさにピタッと音が通う。ということである。
日本の美をまとめる一つの物語がある。
ある茶人が庭を造り、尊敬する人に見てもらった。
その人は、ある見事な石の据え方を見てあの石はまことによろしいと言った。
本人は、その後直ちにその石を掘り起こし庭から取り除いてしまった。
目をそばだだたせる美しさを通り越して渋い美、滋味の美を、ただ何となき美の世界を作ろうとした。
「寂かに見れば、物皆自得す」 芭蕉。
忘れられた名著であろう。