小さいころから体が固いので、「気」の修練を20年くらい続けてきました。凝ったときにゆるめること、ゆるんだときに体表や体の中に気が流れてどれだけ気持ちがいいか、はわかったと思います。しかしほぐすだけでなく、そもそも凝らない姿勢、綺麗な筋肉のつく理想的な歩き方などを知りたくて、デューク更家、早川義修その他のいろいろなボディワークを読んで試してきました。
ゆるめるのではなく、ストレッチや引きあげで、正しく筋肉に力を入れる方法です。
これらのメソッドはだいたい目指していることは変わらないと思うのですが、体に線を通すというようなイメージ的な言葉であらわされていたり、壁に背中をつけて姿勢をただすなど、いわばアナログ的な表現が多く、こうかな、と思ってもなにか、完全にはまった、という実感がしにくかったです。気持ちよいより痛かったり、努力が要ったりしました。綺麗な姿勢、とがんばっても、たぶんどこか間違っているので、かえって凝ったり。
ところが兼子ただしメソッドは、別の本ですが、身も蓋もないほどはっきりと、胸椎12番から頸椎2番まで順番に意識しながらとか書いてあり、ピンポイントで意識してゆけば確かに、ものすごく背中が後屈できたりします。明快このうえもありません。びっくりしました。
そして本書のギブスは、あまりの露骨な惹句に疑いながら買ってみましたが、なんと死ぬほど気持ちよく、肩の筋肉と首が分離し、そのままPCを打ったりしてもまったく肩がこらず、初めて上体の正しい使い方がわかりました。問答無用で納得です。首筋をのばすのには肩先を後ろに引くのではなく、鎖骨の下の外れあたりを上に少しあげ、後ろ側に回転して落とす感じです。びっくりしました。こうすればよかったのだ! 筋肉が感動して喜んでじわじわします。
そうすると自然に胃の裏あたりの骨が前に出る感じになり、S字カーブが形成されます。
著者の本には、横から見ると、ややそり腰気味の写真がのっていたりしますが、これは少しわかりやすくした誇張かと思います。要は骨盤が後ろに倒れず、しっかり直立することで、そうするとおなかがゆるみません。
日舞を長く習っていますが、腰を落とそうとすると、つい骨盤がうしろにこけてしまい、そうなると動きの切れが悪くなり、疲れます。おなかに肉もつきます。バレエや声楽の姿勢も、骨盤を立て、そけい部を引き上げ、その上に体をS字に積み上げてゆくところは共通だという気がします。
この「ギブス」、とにかく一発で、楽な筋肉の使い方がわかります。同じ著者の、「くびれを作る」系の本も同時に読んでいますが、これもピンポイントな表現なので、気持ちよくやれて、自分がまちがわずにやれていることが体でわかります。見た目、肉が落ちるとか、そういうレベルではなく、骨や筋肉全体の連携がスムースにゆくことで、綺麗なむだのない動き、ボディラインができてゆく。「気持ちいい」ことで、体と根底からつながっていける。
実際に習いにゆかなくても、無駄な努力が最小限ですむ魅力的な本だと思います。