ルネサンス以降、美術解剖学の知識は、画家や彫刻家達に必須の表現力の礎石であった。ところが印象派以後の近代美術、あるいは現代美術の時代になって、美術教育での美術解剖学のあり方がおざなりになってしまった。身体は概念化、シンボル化したが、生身の身体への関心は薄れた。
しかしさらに時代を下ると、コンピュータグラフィックスでは、boneを使って動きを表現するようになり、アニメーションでは、ふたたび身体のメカニズムや構造に関心が持たれるようなっている。アニメーションの様な技術のなかで、また身体そのものが注目されるというのは、芸術表現の変遷の歴史として興味深いところだ。
著者は過去から現代、そして未来の「美女」のあり方を解剖学、医学的な知識で説明しつつ、同時に美術解剖学の現在的な意義を主張している。
美女も骨となっては、跡形もないと思っていたが、この本によれば、頭蓋や骨格の構造に、美女の時代性や普遍性を読みとくことができるという。
個人的には美術解剖学の必要性をいたく感じるが、人によっては骨から考えた化粧のコツという点でも参考になる楽しい本だ。