大学2年生の太一は嵐のような女の子、美丘に出会う。
奔放で自由で自分の本能を決して抑えようとしない美丘に太一は恋をし、
2人は結ばれる。しかし美丘は脳に不治の病を抱えており、
美丘の激しい性格は命の残りを燃焼し尽す為のものであることを知った太一は慟哭する。
「セカチュー」石田版といったところでしょうか。
病気で女の子が死んで、残った男の子が過去を回想するという、
現代には飽和状態になっている設定をあえて選んだ作者の度胸に脱帽です。
石田氏らしく、ただの綺麗な純愛物語ではなくて、セックスもする
修羅場もある若い男女の恋を忠実に描いた作品になっています。
ラスト近くでは脳障害が進行しボロボロになっていく美丘や
涙をこらえながら美丘の世話をする太一に人を愛することがどんなに
大きな行為か、またどんなに犠牲が必要かを教えられました。
泣けるラブストーリーが好きという人はきっと楽しめると思います。
残念なのは、やはり設定の壁を打破し切れていない点です。
ひねくれた読み方をすれば「ありきたりのお涙頂戴を狙った作品」
とも見えてしまいます。また、ラスト1ページが他の同系統の作品にない
石田氏らしいクライマックスになっているのですが、そのシーンも
描きいれていないような中途半端感があることも否めません。
世に残る名作とはいきませんが、寒い夜にちょっと手に取って
しんみりするには丁度良い本だと思います。