2006年発刊の、和書としては最新の(2011年現在)シャガール画集でしょうか。
美の20世紀というシリーズは、20世紀の巨匠を手頃な価格で楽しめる入門書という位置付けのようです。
マルク・シャガールの画集・図録は和洋あわせてかなりの数が存在しており
どれを買うべきか悩む事が多々ありますが、
本書は多くの方のキッカケとなる(なった)であろう油彩画の有名どころを集めています。
逆を言えば、高知県立美術館・宇都宮美術館などで版画を、青森県立美術館などで舞台装飾を気に入った方は
その広範な芸術を楽しむ事ができないのでやや不満が残るかもしれません。
全80ページに掲載図版は62点で、比較的大きめなサイズで載っているのは嬉しいところ。
また、図版の載っているページには余計な文章が無いのも好感触です。
だいたい作製年順に並んでおりシャガール芸術(の油彩)を追っていける構成となっています。
印刷も良好と思われます。
「シャガール芸術の源を求めて」という読み応えのある研究・解説文があるのも良いのですが、
数点の図版掲載ごとに文章のページが表出する、という作りは私は苦手であり(一瞬集中力が切れてしまうので)
展覧会図録のように最初に文章、図版は図版のみで纏めて、となっていた方が良かったです。
そこは好みですので、気にならない方は気にならないのでしょうね。
先に述べたようにコンセプトがある程度はっきりしている画集ですので、
それに合致する人には満足が、そうでない人には物足りないと感じるものだと思いますが、
数多あるシャガール本の中で確固とした立ち位置を持った本書は評価できます。
掲載作品に偏りがあるものの、
定価¥1,600+税という手軽さや手に持ち易い(でも小さ過ぎない)サイズ等も考慮して星4つとしました。