登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
30 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
「美の猟犬」というタイトルの本だが、本の構成は美的ではない。,
By
レビュー対象商品: 美の猟犬―安宅コレクション余聞 (単行本)
松本清張の小説に安宅産業の崩壊をモデルにした「空の城」という作品がある。何度も繰り返し読んでいる一冊だ。だから、この本を手に取った理由は、安宅コレクションの美術品に対する興味ではなく、それを蒐集した安宅英一という人物に対しての興味であった。 著者は、安宅産業入社後、彼のもとでコレクションの収集に携わり続けた経歴を持ち、コレクターとしての英一氏の最も傍にいた人物である。安宅産業が崩壊し住友商事と合併する際に退職、大阪市立東洋陶磁美術館(安宅コレクションが収められている美術館)の館長に就任、現在に至っている。安宅英一を描くのにこれ程の適任はいないと思い、かなり期待して読み始めたが、結果としては、満足半分、物足りなさ半分だった。 期待通りだったのは、安宅英一が松本清張の小説で描かれている人物像に近いと確認できたことだ。とても会社のトップ(取締役会長)にいた人物とは思えない浮世離れした人柄、会社の経営には口出しはしないが人事権だけは離さない。でもそれだけではないと思わせる何かがある。確かに複数の作家が評伝を書きたいと思いたくなるような人間性だ。 物足りなさを感じたのは、著者自身もあとがきで「安宅英一を一人のコレクターで、というスタンスで見るという姿勢を堅持したために、人物のトータルな捉え方としては突っ込みが足りないという批判もあり得るだろう」と認めているとおり、経営者としての顔を含め全体像が見えないことだ。 この本の構成は「書き下ろし」が半分。英一が蒐集した陶磁器のカラー写真に購入の際のエピソードが附されたものが約30p、19年に開催された美術展「美の求道者―安宅英一の眼」にちなんで行なわれた著者へのインタビューの転載、陶磁器にまつわる著者のエッセイが収録されている。よって、内容の重複もかなり見受けられる。後半は、関係するものを取り敢えず掲載しましたという感が否めない。
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
魔物に取りつかれた人,
By 蘇冬 "三本の桂" (北海道) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 美の猟犬―安宅コレクション余聞 (単行本)
コレクターという人間は、世の常識では測れないものである。特に自分の「基準」に則っとり、「もの」を集めることで、 自己の欠損したものを埋めようとする人間は、通常人には理解できないであろう。 そんなコレクターの一人、安宅英一に長年付き添ってきた著者でさえ・・・だからこそ、 自分が感じた、考えた安宅英一の全体像はあえて触れないという一線がある。 私ごときが何を、と言われるのを覚悟して言えば、安宅英一という人は、非常に 親近感を持てる人であるということ。 私には安宅英一の持つ審美眼も、獲物にとびかかる執念も「胆力」もない。 しかし、何かを集めることで自分の中の空白を埋めたいという思いは強くある。 いかんせん、私には安宅英一ほどの「気力」「胆力」はない。 (「財力」は関係ないであろう。安宅氏も決して自分の思い通りに収集できたわけではなかったのだから) でも、「あれ」と「これ」、そしてその次には「あれ」を手元に置きたい、という心の中の「魔」は常にある。 安宅氏の行ったことは「空の城」という名著で、松本清張が鋭く指摘している。 もちろん、一企業家、経営者として安宅英一の行った事には批判はあるだろう。 しかし、一流の事をなす人は、多かれ少なかれ、偏頗なところはあるだろう。 私は松本清張氏にも安宅英一氏にもそれを感じる。 そして、両者とも超一流であったというしかない。 それをこの本で確認できたことがうれしい。
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
好感がもてる良書,
By コクリコ (東京都中央区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 美の猟犬―安宅コレクション余聞 (単行本)
東洋美術のコレクターにして安宅産業の社主だった安宅英一の美術品購入の担当だった、安宅産業旧社員の回想本。安宅産業の破綻に伴い、安宅コレクションは住友銀行の手を経て大阪市立東洋陶磁美術館のものとなる。筆者はそこの館長に就任、以後、ご自分自身、日本の東洋陶磁器界の重鎮、中国、朝鮮陶磁の権威になったわけだが、「美の猟犬」という表題が示すように、本のなかでは、自らを美の狩猟者だった安宅氏に忠実な「犬」と捉えており、その立ち位置はきわめて謙虚で自己抑制的である。 長年仕えた安宅氏という稀有の人物に対して、心からの敬愛の念を示しつつ、側近しか知らないようなギョッとするエピソードを開陳するなど突き放した感じもあり、そのバランス感に好感がもてる。 安宅氏側近であったがゆえにさまざまな苦労も経験されてこられただろうに、全体に、清澄なトーンでまとまっていて、陶磁器を形容する感覚的表現がとても美しい。猟犬として働いているうちに、自らも、陶磁を見る目を獲得し、品格を高めてこられたのだろう。 本の挿入されている陶磁の写真はカラーで美しく、その説明も面白い。 古陶好きの方にはお勧めの本。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
|