タイトルのとおり、最近の著作を中心に辺見庸の美意識と社会がつづられている。
チェット=ベイカーのトランペットも、ジャコメリの写真も、資本や生体とのかかわりの中でその意味が語られている。現在の破局において存在感を持つ「美」について語られている文章は同時に、社会の破局状態との関係で意味を持ちえない芸術や文化への強い批判を帯びているように思える。
掲載誌の廃刊により、中止となった連載「潜思録」のほか、書き下ろしの詩が収録されており、そのほか、これまでの論考がテーマごとにまとめられている。
基本的にコレクションであり、過去の文章をまとめたものであるが、テーマを定めて時系列に辺見庸の思索の軌跡を辿るのはこの20年の時間を深く振り返る機会になると思える。