ジュリアン・ムーアは、たいして美人でもなく、「ハンニバル」では、演技力も存在感もジョディ・フォスターには全く及ばないことを見せてしまったが、「エデンより彼方に」では、上流社会の悩める奥様を見事に演じて、実力派女優の仲間入りをはたした。
本作品も、「エデンより彼方に」と同じく上流社会の奥様であるが、「異常度」は、増している。
表面的にみると夫の家族を省みない性格が一番目立ってしまうけれども、内面的には、ジュリアン演じる奥様の度を越した性格が家族崩壊の根源になっているのがわかる。「母は婉曲的に表現することの達人で」と紹介されるが、上品な奥様の内部に潜むのは、息子への執着的ともいえる愛と、快楽主義だ。それらが、年を経るごとに、表面化してくるのだれど、皮肉なことに、それをまず、表にだしていくのは、息子であることに、この作品が複雑で奇妙な感覚にさせることがある。
実話ということだけど、いったいどこまでが実話なのだろうかと思ってしまう。作品終了のエンドロールの前に、この後息子がどうなったかがでてくるけれど、それはそれで、ショッキングだ。息子の異常性は本当に家族のせいだけだったのだろうか?
いずれにせよ、邦題の「美しすぎる母」ってどうにかしてほしい。近親相姦だけをあおっているようで作品に対する理解が感じられない。