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美しく怒れ (角川oneテーマ21)
 
 

美しく怒れ (角川oneテーマ21) [新書]

岡本 太郎
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「憤り」とは世界に体当たりする情熱である――。
グローバル時代の社交術から官僚依存批判、シャツスタイルのススメまで、時代の数歩先を駆け抜けた芸術家による鮮やかな日本論! 岡本敏子による「太郎の眼」収録。

内容(「BOOK」データベースより)

怒らないのは堕落である!「人間」を凝視する、岡本太郎の日本論。

登録情報

  • 新書: 224ページ
  • 出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011/9/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4041100240
  • ISBN-13: 978-4041100240
  • 発売日: 2011/9/10
  • 商品の寸法: 17.5 x 11.1 x 1.7 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By ロビン トップ1000レビュアー
 「芸術は爆発だ!」という言葉で有名な強烈な個性をもつ芸術家、故・岡本太郎さんのご本です。大抵の若い方にとっては「『太陽の塔』の人」というイメージなのでしょうか。本書の初版は2004年。巻末にはパートナーであった敏子さんの短い文章が添えられています。
 
 太郎さんが亡くなった時私は小学生。「岡本太郎」という芸術家のことは当時全く知らなかったのですが、太郎さんの訃報を伝えるニュース映像自体は鮮明に覚えています。幼い私にとっても「芸術は爆発だ!!」とブラウン管の向こうで力一杯に叫ぶ奇妙なおじさんのインパクトはやはり強力なものでした。なんで芸術が爆発なんだ、このおじさんの言ってることは意味不明だなあと思ったことも覚えています(笑)。
 しかし、その後数年経ってから太郎さんの芸術を不思議と好きになりました(縄文土器や東北の人たちの様子を撮った写真集と、画集を一冊持っています。)何故好きなのか・・太郎さんの絵の放つむきだしの生命力とそれを伝える色調、ごまかしのないぶつかり方がビリビリと胸に響きますし、また私も市井の方たちの表情や縄文土器を美しいと感じる人間なので、そういうフィーリングが合ったのなあというくらいに漠然と思っていましたが、今回何故太郎さんに惹かれるものがあったのか、ようやく明確に分かったように思います。
 目次は、「第一章・美しい日本人として怒る」「第二章・残酷な青春」「第三章・子供こそ人間」「第四章・人生は遊び」そして巻末の「太郎の眼(岡本敏子さん著)」です。

 本書に書かれていることは、深く共感することばかりでした。太郎さんは形式ばったことが大嫌いで、人やものの本質を真っ直ぐに見つめて、世の中の偽善やご都合主義に体当たりでぶつかり続けた稀有の、本物の芸術家だと感動しました。「芸術は太陽みたいに皆のものだ」という思想や、フェミニストだったというのも素敵。日本に太郎さんのような芸術家がいてくれたことを誇りに思います。
 文章にも、何とも言えない独特のぐりぐりとした質感があります。語彙自体はそんなに多くなく使用される単語は平易ですが、よく感触が伝わってくるいい文章です。「こまっちゃくれた」「ちぢこまる」「ひねこびた」なんかは少し変わった単語で手触りを感じる音の言葉です。また椎名誠さんみたいなカタカナ表記「モートー」「カッコウ」「フト」も勢いや動き、ハキハキした印象を伝えますし、後は擬音の使用が多く「ギュウギュウ」「ワーッ」「ヒョコヒョコ」等、これも大概カタカナなのが特徴的です。基本的には視覚芸術の方なので、映像的な文であるというのはあると思います。詩情もある。何より、無駄な修飾や格好付けがない。本質そのものの言葉しか書いていないし、気取って美しく書こうなんて空気や気負いは全くなく、実際に思ったこと感じたことを誠実に伝えようとして書いているのが伝わってきます。すごい。文が「本職は生きること」「肩書きは人間」という太郎さんの率直で純粋な人間性を如実に表していると感じます。
 
 本作中には、筋を通さない不誠実な教師に対して激しい憤りを表現した小学生の詩が紹介されています。大抵の大人なら「先生になんてことを言うのか」「そんなことでそこまで怒るもんじゃないぞ」等の反応を返すでしょうが、太郎さんはその小学生の真剣な憤りを「大人に対して真剣に誠実さを求める純粋さ」「美しい怒りだ」と賞賛します。私も権威づくで頭を抑えられるのが昔から大嫌いで(笑)小学校6年の頃、尊敬できない教師に対して「あんた」呼ばわりしたりして反抗していたタイプなので(相手の職業が教師であるというだけで尊敬を強要される謂れはありませんからね)、太郎さんがその気持ちを分かってくれたようで、また「それでいいんだ、その気持ちを、納得できないことや、人を傷つけ裏切る不誠実に対しては怒りを無くさずに生きていく人間こそが美しいんだ」と言ってくれたようで、非常に嬉しかったです。
 
 そして第四章最後の文章には深く頷かされ励まされました。

「私が本当に言いたいのは、自分を超え、逆に本当に生かすことなのだ。・・信念をもって本当のことを叫び、独自の彩りで生命を輝かすとしたら、この世では必ずストップを食わされる。それをあえて乗り越えれば、あらゆる障害を覚悟しなければならない。極端な場合は殺されることもあり得る。殺されないまでも、社会的に葬られる。異端者。軽蔑と、無視、メシの食い上げ。つまり生きたまま殺されるのである。だから『自分を生かす』と一口に言っても、それが強力で純粋であればあるほど、腹の底の冷え上がる恐怖、危機感なしには、この決意に踊りこむことは出来ない。・・そこで、一つ方法がある。人に理解されたり、喜ばれることを求めず、むしろ承認されないことを前提として、猛烈に突き出すのだ。―私は言いたい。人に好かれようと思うな。そこに人間的勇気が湧き起こる」
 この文章を読んで、「この人は本物だ」と確信しました。そして今度「岡本太郎記念館」に行こうと決めました。
 
 この混迷と分別の現代に、物凄くお勧めの愛の爆弾的一冊です。
 
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個人の腹の虫の問題ではない。人間として、人間に対する憤り。
もっと壮烈で、ひろくて、純粋なやつを私はけしかけるのだ。
                   「はじめに」より抜粋
文章を目で追うだけで、強い生命力を得られる本です。

本文は、子ども、サラリーマン、高齢者、夫婦関係にも話がおよび、
怠惰なくらしや、つまらない生活を漫然とつづける人々、
誇りと尊厳を奪おうとする大人たちを語ります。

岡本太郎氏がみていた社会を、まるで岡本太郎氏の横に並んで、
一人の観察者として見ているような錯覚におちいりますが、
ふと、それは自分であったと気づかされる瞬間があります。

「何故か、生きている感じがしない」ときには心に刺さる名言ばかり。
岡本敏子さんの、太郎氏を包み込むような視点もいい。

羊の皮を剥ぎ内なる獅子を目覚めさせたい人におすすめです。
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