これまで読んだ東野作品の中でもまた少し異色な印象。
サスペンスでありながらどこかファンタスティックな匂いもする、
ひとことであらわせない不思議な話。
それはなぜかと言うと、主人公の女―あえて女性とは言わない、
が、謎だらけなうえに想像に難い容姿と能力を持っているからだ。
そしてこれは、作中では"タランチュラ"と表されているその女の、
恐ろしくも悲しい狂気に満ちた物語なのだ。
その女と罪を犯した元スポーツ選手達4人の男女、
彼らの追いつ追われつのバトルが非常にスリリングで先を急がせる。
逃げても逃げても、確実に忍び寄ってくる大きな影。
そして、仲間がひとりづつ消されてゆく恐怖。
スト^リー展開自体は非常にシンプルなのに、飽きることなく一気読みしてしまった。
彼女の秘められた心の内が物語の核となって全てを動かしており、
それはあくまでも普通の人間のそれであるから、
多少設定が現実離れはしていても違和感は感じなかった。
小説としてはとても読みやすい部類でしょうが、あえて、
メジャーなものを読みつくしてから挑戦してみてほしい1冊に挙げておきます。