三島由紀夫の「豊饒の海」を下敷きにしながら、島田ワールドを壮麗に展開した力作。デビュー当時からのファンとしては、あの青二才がこんな世紀の恋を、と感無量……なんだが。ただ、ある特定の妃をモデルとしたため、どうしてもそういうキャスティングで読んでしまうのよ。そのことの政治的思想的意味合いは措くとして、小説としてどう?勿論作者と妄想を共有する喜びはある。しかしカヲルが精彩に満ちた青二才パワーアップバージョンなのに対して、不二子の造形はいまひとつ腰が引けてる気がする。テレビの中のロイヤルスマイルとは違う微笑をカヲルだけは知っている……と言うけど、やっぱり不二子きれいすぎるかな……と思った。恋が終わらないように小説も終わらないで欲しい。三島にならず、もっとたくさんの歌を聴かせてね、ハッピイ・プリンス。