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美しいをさがす旅にでよう (地球のカタチ)
 
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美しいをさがす旅にでよう (地球のカタチ) (単行本)

田中 真知 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

自然や建造物、芸術作品など、私たちをとりまくこの世界には美しさがあふれている。しかし、時代や文化によってその基準はいろいろ。人はなぜ美しいと感じるのか。自分の境界を飛び越えて、さまざまな「美しい」を楽しもう。


出版社からのコメント

《美しさ、それは発見するもの》
 自然や建造物、芸術作品など、私たちをとりまくこの世界には美しさがあふれている。しかし、時代や文化によってその基準はおおきく異なる。人はなぜ美しいと感じ、美しさを求めつづけるのか。
 この本では、世界のさまざまな「美しい」の成り立ちを考えていく。自然を美しいとするものの見方はどのように生まれたのか。廃墟や工場がなぜ美的対象となるのか。人はどうして美しさをもとめて古来、作品をつくりつづけたり、入れ墨やお歯黒、眉剃りなどみずからの体に変工をほどこしたりするのか。また、美しさは科学とどのような関係があるのか。
 人にとっての美しさには、その人がいかに生きて、どのような生活をしているかがあらわれている。美しさを見ることは人が大切にしているものに触れることでもある。
 自分の枠を飛び越えて、この地球上にいっぱいある、にぎやかな「美しい」を楽しむ旅にでてみませんか。

登録情報

  • 単行本: 242ページ
  • 出版社: 白水社 (2009/04)
  • ISBN-10: 4560031975
  • ISBN-13: 978-4560031971
  • 発売日: 2009/04
  • 商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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5つ星のうち 4.0 出版のコンセプトに沿いながら、「らしさ」を出すこと, 2009/5/26
田中真知さんの新刊を、“国語の教科書とか、中学入試問題や塾のテキストに使われそうな文章だなあ。”という第一印象を抱きながら読み進めていた。
それは、いい印象なんだろうか、よくない印象だったのだろうか。

「真知さんらしさ」を、殺がれている?

私にとっての、文章家としての真知さんの魅力は、一見、平易で、すらすらと誰にでもよどみなく読むことができ、なかんずくその読み手が自惚れ屋であれば“これくらいの文章なら自分にも書けるかもしれない”と思わせることさえ許すが、実は決して市井の凡人には書くことなどかなわない、知性と感性の拮抗する文章を作るところだ。
それ以上に、前作『孤独な鳥はやさしくうたう』の拙レビューにも書いたように、穏やかそうなのにどこかにギラッと刃(やいば)の閃きが見えるような文章を書くところだ。
それが、「らしさ」だと思っていた。
新刊『美しいをさがす旅にでよう』は、そのギラッとした閃きがなかなか出てこない。
読み物として、もちろん十分におもしろいのだけれど、なにかもの足りない。
これはレビューを書くとしたら難しいな……と感じていた。

その一要因は、「ぼく」の不在だ。
真知さんのエッセイでは、エッセイという文章の性格上あたりまえのことかもしれないが、しばしば文中に「ぼく」という語が見られる。
「ぼく」が歩いて、「ぼく」が誰かに出会って、「ぼく」が考え、「ぼく」がとまどい、「ぼく」がヤケクソになり、「ぼく」が立ち止まり振り返る。
全編に遍在する「ぼく」の目で読者はひとつの居場所を得る。
こんなふうにはとても書けないけれど、読むことでひととき、田中真知になれる。
そういう読み方を、自然と長年のファンはしてきたはずだ。
対するこの新刊では、「ぼく」が各章の中にほとんど出てこない。
私の記憶ではわずか2箇所くらいだ。
だからこの本は、すぐれて解説的・教科書的であり、「真知さんらしさ」を追い求めるタイプの本ではないのかもしれない。
と、思ったのだが……

この『美しいをさがす旅にでよう』は、白水社で次々と刊行している「地球のカタチ」シリーズのなかの一冊として上梓された。
「地球のカタチ」シリーズというのは、世界のさまざまな事象や文化などを、固定概念にとらわれずにもう一度新しい視点から見直していくヒントをくれる著作物のシリーズである。
執筆陣は森枝卓士氏や小松義夫氏などをはじめ、世界を自分の足で歩き、それぞれの分野を突き詰めていった面々のようである。
では、真知さんの“分野”が、「美しい」ということだったのか。
持ち前の博識と、旅で得た実体験と、豊富な資料写真と参考文献から展開されていく、「この世界で『美しい』と感じられるものの多様さ」の紹介は、知っていたこともあり、知らなかったこともあり、この「地球のカタチ」シリーズのコンセプトにぴったりと沿っていて、なるほど彼が「美しい」の分野を担当したのも必然だとうなずけた。

内容に関しては、ご自分で調べるか読んでいただくとして、この本は大きく4章に分かれている。
その各章の末尾に、各章の本編とリンクしているようなしていないようなコラムが配されている。
おもしろいのだが若干のもの足りなさを覚えながら進んできた私は、このコラムに行き当たってようやく、「あ、真知さんが書いている!真知さんが出てきた!」と実感したのだった。
コラムの中には、「ぼく」の語があふれ、歩き、とまどい、考え込むいつもの真知さんが活き活きと動いていた。
それがわかってから読み進めて読了してみて初めて、そうだったのか、とわかった。
この本は、解説的な本文と、「ぼく」のエッセイを対置させることでリズムを生み、一冊全体で「真知さんらしさ」を完成させていたのだ。
知性と感性の拮抗。
とっくに知っていたはずなのに。

コラムに行き着いてからあらためて各章の本文を読み直してみると、博識ではあるけれど専門の研究者というわけでもなく、やはり大きな知性を持ったタビビトとして存在する真知さんのスタンスがよく見える。
私は焦りすぎていた。
早く、“水の底に沈んだ大事な鍵(『孤独な鳥はやさしくうたう』レビューで使ったたとえ)”を見つけたくて。

私のように焦らずに、美しさを発見する旅にいざなわれるまま、じっくりと各章の本文もコラムも味わってほしい。
真知さんの文章は美しい。
ひらがな表記を多用する独特の文体は、日頃の基準に照らして「これは果たして美しいといえるのかなあ?」と首をかしげるような「美しいもの」の解説をしているときでさえ、たおやかでディーセントだ。
え、ひらがな多用ってなんのことだかピンと来ない?
だってたとえば本のタイトルから見てよ。
『美しいを探す旅に出よう』ではなく、『美しいをさがす旅にでよう』。
『孤独な鳥は優しく歌う』ではなく、『孤独な鳥はやさしくうたう』。
目に触れたときの感じが、まったく変わるでしょう?

真知さんにとって、「探す」は念頭にはなく、「さがす」でなければならなかった。
「出よう」ではダメで、「でよう」としるさなければならなかった。
それはきっと、彼の選択した美しさ。
コンピュータで自動的に変換されるのに任せず、自分で美しいと思える言葉を選び、美しいと感じた表記で文章を書こうという気概を、感じ取れる。

さまざまな美しさに敏感な人間でありたいと思う。
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