文章を書くことで自己を表現しようとする人ではなく、文章ではない他の手段を使って何かを突き詰めていこうとしている人たちの文章には、しばしば素晴らしいものがある。彫刻家の船越親子然り、高田博厚氏然り。いや、むしろそのような素晴らしい言葉は、売文家ではなく、そういう人たちのほうが持っているようだ。
この本には、著者が静かに、時に熱く、時に激しく、しかし互いに尊重しながら丁寧に交流を重ねている方々との、まさにその交流の仕方を我々に教えてくれる。そして、著者とその友人たちとの間に交わされる驚くべき言葉の数々!15の出会いが描かれているが、そのどの出会いでも、「美しいもの」をめぐる真摯な言葉と思考の軌跡が語られる。読んでいて、自らの襟を正すような、こういう人たちが存在することを知ることができて嬉しくなるような、複雑な感情が去来した。なにより、15の出会いで紹介される作家さんたちの作り上げているものを実際に見たくなった。