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羆嵐 (新潮文庫)
 
 

羆嵐 (新潮文庫) [文庫]

吉村 昭
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (45件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 226ページ
  • 出版社: 新潮社 (1982/11)
  • ISBN-10: 4101117136
  • ISBN-13: 978-4101117133
  • 発売日: 1982/11
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (45件のカスタマーレビュー)
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65 人中、64人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 青頭倶楽部 トップ50レビュアー
形式:文庫
北海道の山間部は人が踏み入れない地も多く、ありのままの自然を渓流釣りや
登山で楽しむ者も多い。しかし不幸にも羆と一度でも遭遇してしまうと、とたんに山に
入るのをやめてしまうという。それくらい羆と出会う衝撃は大きい。その迫力や威圧感は、
経験した者以外には到底推し量ることはできない。現代人が滅多に感じることのない
現実的な"死の恐怖"を味わった者は、人生観すら変わってしまうと聞く。

大正四年(1915年)、その惨劇は現苫前町で起きた。死者六名、重傷者三名。日本
最悪の獣害事件である。被害のあった六線沢を地図で確認してみると、驚くほどの
山奥である。百年前はこのようなところにも人の生活があったのだと感慨深いものが
ある。実に恐い小説であるが、筆致は淡々としており、それが却って恐怖を高める
効果を生んでいる。この事件の事前知識はなかったため、読み進めながら、いつ羆が
出てくるかと気が気でなく、映画「ジョーズ」のような恐怖感を味わうことになった。

北海道の開拓史は生きることの厳しさをいつも我々に教えてくれる。そこには必死に
生きる我々の先祖たちがいる。北海道に生まれ育った者として、私は学校で学ぶ
歴史よりも生きた"歴史"を感じるのだ。現代人が忘れてしまった何がそこにはある。

昭和52年に発刊された本書は、二年後にラジオドラマになり、その脚本を担当した
倉本聰氏が「解説にかえて」を書いており、六線沢の当時の状況などに触れている。
ラジオドラマはネットで聴取することができる。興味のある方は聴いてみるといいだろう。
このレビューは参考になりましたか?
99 人中、95人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By TaroTaro トップ500レビュアー
形式:文庫
大正4年12月、冬眠の時期を逸した一頭の羆(ヒグマ)が僅か2日の間に6人の男女を殺害した。この北海道の開拓村で起こった日本獣害史上最大の惨劇を描いたドキュメンタリー作品である。(羆は日本最大の肉食類であり最大500キロにもなる日本では北海道にしか生息しないクマである)。

当然、凄惨なシーンも描かれているのだが、そこは著者の作品である。抑えた筆致で書かれている。しかし、その淡々とした文章がより一層この事件の恐ろしさを際立たせている。

初めてこの作品を読んだときには、その恐ろしさだけが先にたったのだが、何回も読むうちに、この作品が「羆」という自分達の力ではどうにもならない脅威に遭遇したときの村人達の心の動きと行動、圧倒的な力を前にした「集団」の無力な姿が見事に描かれた「集団劇」ではないかという気がしてならなくなった。そして、この「集団」の無力さは、羆を最後に射殺したのが一人の猟師であることで一層強調されている。

凄惨さだけでなく、こういったことが丁寧に描かれている点が、この作品が単なるドキュメンタリーの範疇を超え、優れた「小説」となっている理由なのであろう。と偉そうなことを言っても、自分が同じ立場になったら村人達の同じなんだろうなぁとは思うのだが…。

私は生まれも育ちも北海道である。祖父母が暮らしていたのは幌加内という山間地であり、父の転勤そして自身の転勤によって40年近く全道を転々としている。20年以上前、この事件の現場も訪れたこともある(既に無人の地ではあるが)。解説の倉本聰氏も触れているが、淡々とした記述の中に厳しさや凄みが感じられる著者の自然描写は素晴らしい。著者のことである。現地に何度も足を運んだに違いない。
このレビューは参考になりましたか?
26 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
わたしは、この作者の作品の多くはハードボイルド小説と考えている。素材をできる限り活かし、主人公の心理描写を極力抑えた乾いた文体で読者に訴える。またルポルタージュ的な面も強く克明にデータが書き込まれている。そのため一般的な小説としては抑揚がなく、読みづらいと思う作品も少なくはない(例えば『桜田門外の変』)。ただしこの作品はそのような作者の特色が極めて成功した代表作の一つであることは間違いない。なにせ素材自体が下手な小説を超えてしまっている。しかしその素材はあまりにも重く、扱い方が難しい。

ストーリー全体を貫くなんとも言えない恐怖感も魅力の一つであるが、読みどころはやはり中半以降、熊撃ちのプロフェッショナルでありながら、村人に忌み嫌われている絶対的アウトロー、銀四朗が登場してからのストーリー展開である。その登場シーンはまるで映画を見ているように情景が浮かぶ。正直、このあまりに魅力的な主人公の一人に思いっきり感情移入してしまった。銀四朗はこう言う。「おれはクマを追うときは夜明けから日没まで山の中を歩き続ける。クマの足は早いが、それに追いつくためにはクマより早く歩かねばならぬ。」まさしく銀四朗は大正時代のゴルゴ13である。

またタイトルついても著者は相当考えた節がうかがえる。読了前にタイトルに感じたその荒々しいイメージが、読了後はなんとも寂しく、一種の悲しさを誘う仕掛けがしてあるところも作者の技量を感じさせ、本好きをうならせる。
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投稿日: 6か月前 投稿者: やる夫
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投稿日: 7か月前 投稿者: ノナ太郎
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投稿日: 7か月前 投稿者: 育児中の専業主婦
めちゃくちゃ恐かった。
表現が淡々としているが生々しくて、嫌でも頭で想像できた。
なので自分なりの熊のイメージが出来上がり、超恐く読めました。... 続きを読む
投稿日: 8か月前 投稿者: Cheshire
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