正直、今まで、この作品が海外で、どうして評価が高いか理解できませんでした。
中心となる森のシーンは、ほとんど真っ暗で何やってるか分からないし音声も、ほとんど聞き取れないので、意味不明なストーリーが、ますます分からず実験作なのは理解できても感動とは、程遠い印象でした。
が、このDVDを見て印象は180度変わりました。
兎に角画面が美しい。森のハイコントラストな光と影は印象派の絵の様で、その中の京マチコさんの美しさは絶品ですし、二人の男優も個性は真逆でも美しいです。そして衣装も凝ってます。
話の内容も表面的には全く異なりますが、人間性の本質は実は、どれも一緒です。
女性は、視点により悪女にも淑女にも成りますが、そのどちらも併せ持つ物だと黒澤は言いたいのではないでしょうか。
そして、男性は、そんな女性に振り回される哀れな存在だ。
こう考えると一見多面的なこの作品も一貫性のある物だと言えます。
そして、黒澤の、こうした人間感は、同時期発売の、本作制作の数十年後の「乱」でも変わりません。
それにしても、今回の復元が一番効果を挙げているのは、そうした複雑な女性を見事に演じ分けた京マチコさんです。復元で表情の微妙な違いもはっきり分かるように成った事で彼女の演技が一層引き立ちました。脱帽ものの演技力です。彼女は「乱」で末の方と楓の方に二分された人間性を一人で演じきりました。海外での絶賛も納得です。
ただ「乱」と「羅生門」の違いは最後ではっきりします。
この間の監督の人生観の変化が何か悲しい物に写ります。
兎に角、この復元は賞賛に値します。日本でも、アメリカの様に名作映画の復元が進む事を願います。
結論として、本DVDはマストバイと断言できます!!