京の都が、天災や飢饉でさびれすさんでいた頃の話。荒れはてた羅生門に運びこまれた死人の髪の毛を、一本一本とひきぬいている老婆を目撃した男が、生きのびる道を見つける『羅生門』。あごの下までぶらさがる、見苦しいほど立派な鼻をもつ僧侶が、何とか短くしようと悪戦苦闘する『鼻』。ほかに、怖い怖い『芋粥』など、ブラック・ユーモアあふれる作品6編を収録。
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15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
人間の裏側に隠れている醜い部分,
By ke-ke-chan (新潟県新潟市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 羅生門・鼻 (新潮文庫) (文庫)
芥川竜之介の作品を読むたびに私は彼の書く人間の姿に圧倒される。鮮烈で効果的な情景描写の中に少しずつ浮き彫りになっていく下人の本性。老婆と出会い、極限状態から堕落していく姿を見ていると背筋が寒くなる思いがした。根は真面目でどこにでもいるようなこの下人は自分や自分の周りの人に重ねることができるように思える。私達はいつでもこの下人のように堕ちていくことができるのだ。自分のいいように都合を合わせ、自分を正当化し、良くはないと分かっていながらも止めることのできなかった下人に私達はいつでもなれるのだ。雨、からす、黒洞々たる夜。たくさんのこういった表現を用いることで、不気味な雰囲気を醸し出しながら、作者はこのような人間の裏側に隠れている誰もが持つ弱くて醜い部分をこの小説で書こうとしたのだ。 それでもやっぱり下人は最後は基の機が小さく弱虫菜優しい人間に戻ってほしいと願いたい。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
人間を描く,
By h - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 羅生門・鼻 (新潮文庫) (文庫)
「羅生門」「鼻」「芋粥」「運」「袈裟と盛遠」「邪宗門」「 好色」「俊寛」が収録されている短編集である。人間の心理描写が見事に描かれた作品だと思う。嫌悪する側から嫌悪される側への堕落していく描写には圧巻であった。とりわけ「羅生門」「袈裟と盛遠」が秀逸であると感じた。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
人間心理を深くえぐりながらも、単純に面白い,
By bluepasta (Brooklyn, NY USA) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 羅生門・鼻 (新潮文庫) (文庫)
芥川の王朝物と呼ばれる、平安時代を舞台にした作品を集めた短編集。今昔物語を中心に、日本の古い説話から題材を取っています。善と悪との間で揺れ動く人間心理を描いた「羅生門」、同じく人間心理の機微を描いた「鼻」や「芋粥」など、読んでいてあまりに面白くて止まらなくなる作品ばかりです。中でも「邪宗門」は大作で、舞台設定から登場人物の描き方まで、引き込まれること間違いなしです。未完で終わってしまっているのが何とも残念です。教養の深さもさることながら、単純にお話が面白いところが、芥川の小説の素晴らしさでしょう。誰でも一度は読むべき本だと思います。どれも短い作品なので、気楽に読めます。
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