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“記者の魂”とは、不正を阻止せんとする‘私’の奮闘,
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レビュー対象商品: 罰金 (ハヤカワ・ミステリ文庫―競馬シリーズ (HM 12-8)) (文庫)
“ターフを走るサスペンス”、ディック・フランシスの<競馬>シリーズ。本書は’68年発表のシリーズ7作目にあたり、英国の作家ながらアメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」の’70年度ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)に輝いた。ここに悪知恵に長けた南アフリカ・ボーア人の詐欺師がいた。彼は、米・日にはない重賞レースなら出走日以前にも賭けられる英国の障害競馬の賭けのシステムを悪用する。有力な馬を物色、大衆の支持の強い競馬専門紙の記者を脅迫あるいは買収して「その馬が絶対勝つ」と思い込ませるような記事を書かせる。国内にネットワークを持つ賭け屋と結託し、賭け金がつりあがったところで、今度は馬主を脅迫して直前に出走を取り消させる。かくして詐欺は完了。彼らはこの「本命馬出走取消し」による不正行為で多額の金を手に入れてきたのだ。 ‘私’こと競馬担当記者であるジェイムズ・タイローンは、「本命記事」を書かされてきた同僚の泥酔転落死に不審を抱く。‘私’は有力競馬誌から来るべき重賞レースについての記事を依頼され関係者を取材するうちに、カラクリに気づき、そこでも同じことが起きようとしていることを察知する。 35才の‘私’は、決してスーパーマンではない。同い年の妻エリザベスは結婚3年目の24才で発病した灰白脊髄炎(小児麻痺)で体の90パーセントが11年間麻痺した状態で経済的にも苦しい。彼女を献身的に介護する一方で魅力的な若い娘と男女の関係を持ってしまう。いたって普通の男なのである。そんな‘私’が暴力にも脅迫にも屈せずなんとか不正を阻止せんと奮闘するのである。 本書は、謎解きの興趣は薄いものの‘私’と“敵”との一連の攻防をスリルたっぷりに描いた作品である。 余談になるが、ディック・フランシスは、騎手引退後、≪サンディ・イクスプレス≫紙で競馬記者をしており、愛妻メリイは小児麻痺に罹り、本書のエリザベスほど重症ではないものの人工呼吸器を使っていたという。本書の‘私’のモデルは作者フランシス自身なのである。
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5つ星のうち 4.0
ほろ苦い男の賛歌,
By カスタマー
レビュー対象商品: 罰金 (ハヤカワ・ミステリ文庫―競馬シリーズ (HM 12-8)) (文庫)
著者の競馬シリーズの中では中堅どころか。主人公が不倫してしまうのは珍しい。が、弱さを見せつつも不屈の闘志で難局に立ち向かう、という基本ははずしてない。ほろ苦い酒のイメージが、全編にうまく使われている。
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