日本の漫画史上、漫☆画太郎ほどの逸材はいただろうか?
ただでさえギャグ漫画家は短命と言われている。
ギャグが古くなったり、四六時中ギャグのネタを考えて頭がおかしくなったりと、ギャグ漫画を継続していくことは非常に困難なことである。
しかし、1989年ごろデビューして以降、一環してギャグ漫画を書き続けている男がいる。
それが、漫☆画太郎である。
少年ジャンプで「珍遊記」の連載が始まったとき、当時のジャンプを愛読していた小学生の中で、日本のギャグ漫画界に(非常に悪い意味で)革命が起こる、と予感したのは私だけではないはずだ。
その後「地獄甲子園」や短篇集を出して、日本漫画界でも特異な位置についた画太郎。唯一無二の存在として、誰も追従しない、追従なんてしたくもない地位へとたどり着いた。
有名な漫画雑誌でみかけなくなって、「画太郎のやつ、そろそろ死んだかな?」なんて思ってるとクイックジャパンなんていうサブカル雑誌にも描いている。
ヤングジャンプでサラリーマン金太郎のパロディ描いて本気で怒られたり、ビジネスジャンプでやる気まんまんでオールスター出演作品「珍遊記2」も結局打ち切りだったりと良くも悪くもぼくらの大好きな画太郎先生が挑んだのが今作である。
世界的に評価されている名作文学、ドストエフスキーの「罪と罰」を漫画化。
これは非常に際どい賭けである。
原案・ドストエフスキーと冠している以上、へたなことはできない、と誰もが思っただろう。
しかし画太郎はやってのけた。文字通りの原作レイプというやつを。
主人公がババアを殺そうとして逆レイプされるというふざけた展開なぞ、誰も待ち望んでいなかった。
しかし、それをやっちゃった画太郎はやはり、日本ギャグ漫画界における重鎮であり、いかなる権威にも屈しないカウンターカルチャーの帝王であることを示してみせた。
権威を相対化するという笑いはチャップリンの時代からおこなわれていたが、チャップリンの「独裁者」をも超える作品を画太郎はやろうとしている。
そしてその確信は、単行本第一巻を読了後、それはねえなーって思いました。