原作が好きなので読んでみましたが、罪と罰は時代や国に捕らわれない普遍的なものをテーマにしているので、罪と罰を現代風にアレンジするという発想自体は面白いと思います。
が、少しアレンジの仕方がお粗末過ぎますね。
舞台や設定を変える際には細部のリアリティが重要になってくると思うのですが、背後の設定にやくざやマフィアを多用するのはあまりにチープ過ぎますし、何より作者は罪と罰をあまり読み込んでいないのか、後半が全くの別物になってしまっています。
ドストエフスキーは能天気に道徳を賛美しているような作家ではないのですが、この漫画は話が進むにつれてどんどん話が変な方向に突っ走っていき、最終的には人を信じられなかった孤独な主人公が愛に目覚めるて終わるだけの単なる三文ドラマになってしまい、原作のクオリティの高さを知っている人間としてはちょっと褒めることのできない不出来ぶりです。
原作を用いるなら罪と罰を何十回と読み込んでいたという手塚治のように、せめて原作の良さを理解してから漫画化するべきなのではないでしょうか。