有史以来、人類の成功は拡大や増加などという言葉で表わされてきた。その代表的な例が、「大量で画一」な物質的豊かさをもたらした産業革命である。しかし、資源や環境面においてさまざまな限界が見えつつある現在、これまでの理念が崩れ始めている。近いうちに縮小や減少という方向に向かわざるをえない。人類は今まさに過去と逆向きの理念を要求されており、そのためには「多様で少量」を実現するIT技術と、多神教的宗教観が有力な手段になると、著者は期待を込める。
すごい本である。宇宙論のスケールで人類の歴史を俯瞰し、膨大な資料をもとにその道のりを検証したうえで、新たなるミレニアムの創造へと読者の意識を引き上げる。全編データのかたまりともいうべき圧倒的な情報量。微塵の曇りもない明解な論旨。メッセージがあまりに明解で、目次や要約を読むと陳腐に思われるかもしれないが、1行1行が栄養に満ちたビタミン剤であり、教わることがとても多い。
1000年単位で未来を展望する壮大な内容だが、大言壮語ではなく、難解でもない。本書は間違いなく知的な刺激と興奮に満ちた著者渾身の大作である。(齋藤聡海)
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