縄文語とは、その名の通り縄文時代の言語である。
文字の無い縄文時代の言葉を、どのようにして突き止める(発掘する)のか、その考え方と手法が、最大のポイントとなる。
まず、縄文語に最も近いであろうと思われる現存する言語を考える。
人類学的な見地から、アイヌ人は縄文人の子孫であり文化的な繋がりも見られることなどから、アイヌ語を取り上げる。
次に、縄文語に由来すると考えられる、現存する言葉を考える。
北海道や東北北部に、アイヌ語地名が多く残るように、日本列島全体において、縄文語地名が少なからず残っていると考える。
これは、縄文人が生活していた土地に、異なる言葉(日本語)を使用する民族が移住してきたとしても、地名については現地の言葉(縄文語)が用いられ、定着することが考えられるからである。
これらを前提にして、現在の地名を見たとき、表記される文字(漢字)の意味では、その土地の特徴を説明できないとき、発音の変化を考慮しつつ、アイヌ語で解釈すると理解できる、というのが大きな流れとなっている。
例として、本書の最初に登場する地名、北茨城市の「平潟」について簡単に説明する。
「平潟」の「平」を”平ら”、「潟」を”浦(入江)”と解釈できるが、”平らな入江”とはどういうことなのか、理解に苦しむ。
「平潟」を「ひらかた」で考え、さまざまな発音の変化の事例から、元は「ぴらかた」と推測し、アイヌ語で解釈すると次のようになる。
「ぴら(pira)」がけ。土がくずれて地肌のあらわれている崖。
「か(ka)」・・・のうえ。上面。
「た(ta)」《指示代名詞》 そこ。
繋げると、「崖のうえの(その)ところ」 となり、実際の地形に合う名称と言える。
かなり簡略したが、同じような考え方ができる他の地名を取り上げたり、「風土記」などに見られる記述を取り上げたりと、幅広い見地により説明しており、説得力を感じられる。