国木田独歩が編集者であったことは知っていた。伊藤整の『日本文壇史』を読んでいたからだ。文庫版『
日本文壇史総索引 (講談社文芸文庫)』を見てみると分かるが、「独歩社」「近事画報社」は、各々10数ページに出てくる。
それに、『日本文壇史』に登場する「独歩」は、350ページを越えるので、文壇における独歩及び、最初の妻とのいきさつについてもほぼ知っていた。
もちろん、著者は大量の第一次資料を収集し、調べているので、細かい部分では知らないことも多かった。なかでも、女写真師・梅子のモデル探しはミステリの謎解きを思わせて興味深い。ただ、全体として、すごく面白いとかぐいぐい興味を惹かれて仕方がないということはなかった。
そういう私にとって、本書でもっとも興味深かったのは、「近事画報」などを含めたグラフ誌にかかわる部分である。名取洋之助の仕事についても多少知っていたが、日本のグラフ誌の創世期の状況や矢野龍渓のかかわり、欧米でのグラフ誌の動向との比較などは知らなかったことばかりで、面白かった。
著者は、『パンとペン』を刊行した後で亡くなられたということだが、若かっただけに残念でならない。