・今般の各種インフルエンザの世界的流行の中で、その対応と対策に心を痛めているのは、単に行政や医療関係者ばかりではないようだー。
歴史を紐解く時、この本の緒方洪庵のように、市井にあって庶民の為に最大限の努力を為してきた偉人達が鮮やかに浮かび上がってくる。緒方洪庵は、幕末の医家としてよく知られた存在だが、大阪・適塾を通して輩出された明治期の逸材をみていると、“教育者”としての側面も又、素晴らしいの一語に尽きる。
・福沢諭吉を筆頭に、橋本佐内・大村益次郎・大鳥圭介・佐野常民・長与専斎等々・・・壮々たる門下生の一群。
学者・文人にありがちな教条主義的指導ではなく、人間を育て上げる〜その姿勢に、現代人の我々も深く共感を覚えるのではないだろうか。
・医は仁術。その根本とも言うべき、洪庵がまとめた、「扶氏医戒之略十二ヶ条」は単に医師や自分への戒めであるばかりか、職業そして時代の枠を超えて、私達現代に生きるものに迫ってくる。
ー来年、2010年の洪庵先生生誕200年を前に是非一読をお薦めしたい。
熊本市・新生堂(くすりや) 山本 哲生
[ASIN:4784214828 緒方洪庵―幕末の医と教え]