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緑の家 (新潮文庫)
  

緑の家 (新潮文庫) [文庫]

マリオ バルガス・リョサ , Mario Vargas Llosa , 木村 栄一
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

砂の降りしきる町の娼家「緑の家」、密林に覆われた尼僧院、インディオの集落。ペルー社会の複層性さながらに交錯する現代・中世・古代。盲目のハープ弾き、飲んだくれ、日本人の流れ者、そして女…。市民的規範には無縁のしたたかな人物群が多様多彩に躍動乱舞する。―ラテンアメリカ文学の豊かな土壌に育くまれ、前衛的な手法を駆使して濃密に織りなす、物語の壮大なる交響楽。

登録情報

  • 文庫: 706ページ
  • 出版社: 新潮社 (1995/03)
  • ISBN-10: 4102453016
  • ISBN-13: 978-4102453018
  • 発売日: 1995/03
  • 商品の寸法: 15.4 x 11.2 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 5.0 買いです。, 2011/1/4
レビュー対象商品: 緑の家 (新潮文庫) (文庫)
「ラテンアメリカ文学ブーム」という言葉が聞かれなくなって久しい昨今ですが、昨年のノーベル文学賞を受賞した、本書の作者であるリョサをはじめ、結構細々とその翻訳が続けられていたりもします。熱心な翻訳小説の読者はせいぜい数千人という自嘲的な話を当の翻訳家の著作で読んだ記憶がありつつも、まぁラテンに限らずもうすこし人々の耳目を集めて良質な外国文学作品が廉価で読めるようになったらと願わずにはいられない今日この頃です。さて、そのリョサの初期の代表作に目される「緑の家」ですが、ノーベル文学賞の受賞を予知された慧眼な編集者でもおられたのか、新潮文庫で長らく品切れだった本書が昨年八月唐突に、岩波から文庫で再発されました。遅ればせながら年末年始の読書にと昨年末その上下二冊の岩波版を購入したのですが、まずは以前読んだ新潮文庫を本棚の奥から出してきての再読です。本書は「緑の家」と呼ばれる娼家を舞台に展開される「複雑」な物語、などと記してしまうと、なにも説明してないに等しいといってもよいくらい時間と空間、そして人間関係を入り組ませて編まれた物語で、なにしろその「緑の家」という家自体が気づくとふたつ登場していたり、小段落を設けずに時空間をない交ぜに描いていたりするので、登場人物の名前の覚えにくさとあいまって、混乱をきたすこと請け合いです。ただ、その混濁した雰囲気が、いわゆる「ジャングル」的な魅力を有していることもまた確かで、あらすじをここで説明することはしませんが、大ざっぱに言って五つの物語が登場人物や場所などを重ね合わせながら平行して進み、ラストで一気に「緑の家」に収斂していく構成なので、読み始めてしばらくは色分けした附箋でその展開を視覚的に把握しておくことをお勧めします。また、B4くらいの紙を用意して物語ごとの登場人物をグループ分けしておくのも非常に有用だと思います。あとはあせらず諦めず物語の流れに身を任せておけば、必ずその脳裏に豊穣な世界の展がりをみつけられるはずです。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 緊密な構成, 2007/3/28
By 
話者が次々と入れ替わる実験的な語り口,複数のストーリーが同時並行的に進む展開,ストーリーによって同一人物の造形や性格が複雑に変化する様子等相当入り組んだ話になっているのに,非常に読みやすい。
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7 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 物語を理解することを放擲した上で700頁を踏破してみて感じたこと, 2010/10/24
By 
yukkiebeer - レビューをすべて見る
(殿堂入りNo1レビュアー)    (トップ50レビュアー)   
レビュー対象商品: 緑の家 (新潮文庫) (文庫)
 2010年のノーベル文学賞がマリオ・バルガス・リョサに授与されることが決まったと知り、早速手にしてみました。新潮文庫で約700頁という巨編です。
 ペルーの地で起こる5つの物語が脈絡もなく始まり、やがてひとつの調べへと結実していく交響楽的物語、とのことですが、これはなかなか手強い小説です。

 なにしろ、ひとつの場面、ひとつの時間に数人の男たちが会話を交わしていたかと思うと、突然その会話の内容が指し示す別の場面、別の時間が通例の文章手順を曲げて混入してくるという具合。実に幻惑的な時空間の瞬間移動が随所で繰り返されるのです。
 199頁でフシーアが「おれはもう時間の感覚がなくなってしまったよ」と吐露する心情がまさに心に添う思いをしました。

 かてて加えて、登場人物の数が半端ではなく、スペイン語圏のなじみのない人名の数々に息切れを感じつつ、フシーアという名の日本人が現れるに至っては、戸惑いという言葉では言いつくせない気持ちに陥ります。これら膨大な数の登場人物の相関図を頭に描き、それを維持しながら700頁を読み進めるというのはなかなか骨の折れる作業になります。

 ですから私自身、この物語の全体像を正確に理解できたとはおよそ言うことができません。誰と誰が夫婦関係で、誰がそこに岡惚れを仕掛けているのか、誰が誰より年長で、誰が誰の部下なのか、最後まで記憶にとどめながら読みとおせたとは思いません。

 それでもこの700頁をなんとか踏破できたのは、描かれる人々の住まう街の匂いやその空気圧が妙に心地よく感じられたからです。ひとつには日本から遠い地球の裏側の世界が醸し出すエキゾチズムに酔うことができたこと。そしてもうひとつは、物語の錯綜感が、理解などというものを平気で度外視しても、尽きることのない興趣を与えてくれるものだと思うことができたからです。
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