メディア・リテラシーという言葉は、一時期ブームになったが、最近では方法論の壁にぶち当たっている感がある。どうして教えたら良いかが分からない。テレビを観察したり、あるいはテレビ局が制作したビデオを見せてディスカッションしたり、いろいろやってみたものの、なかなかうまく行かない。学校では、PCでインターネットやメールを使ってみる授業はあるが、メディア・リテラシーに関するものは教えられる人がいないのが現状。国語の単元も飛ばしている。
ところが、この本は、テレビ観察などではなく、実際に子どもたちに映像作品を制作させることが一番早道とし、やさしい方法論を紹介している。確かに、この方法は面白い。また、制作してみると、テレビ局の人たちと同じジレンマに当たるという指摘もよく分かる。映像に慣れた現代人でも実際に映像作品を制作するのはなかなか難しいことがわかったし、それでもやってみるとテレビのからくりがわかってくる。ある意味で、この本の手法は簡単だが画期的であると思う。しかし、小学校でカメラをどうやってそろえるか。編集ソフト入りのPCをどう調達するか。総合学習の時間は全学で調整が必要であることを考えれば、小規模校のほうが実現可能であるように思う。実際に紹介してある事例は小規模校である。現状はなかなか難しいが、将来、この本が指摘しているような、実際に映像制作をしてみるという授業が入って来ると、きっと学校全体も活性化されるかもしれない。教諭でない人が書いた本なので現実的ではないが、大変刺激された本である。