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緋文字 (新潮文庫)
 
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緋文字 (新潮文庫) [文庫]

ホーソーン , 鈴木 重吉
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 284ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1957/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4102040013
  • ISBN-13: 978-4102040010
  • 発売日: 1957/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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 信教を貫こうとして海原を遠く渡り、北米の寒い土地に社会を築いた原アメリカ人たちの息づかいが眼前に現れてくる小説作品である。(ただし実際のそれとは異なるのかもしれないが。)
 この合衆国の父母とも言える人々と今日のイーラーンの人々との間にどれほどの違いがあるというのだろう。この合衆国の父母とも言える人々の遠い子孫は今や何重にも堕落を重ね、自分たちの父母に似た異国人を異常な宣伝によって攻撃している。それに、鏡に写る自分の顔を見ることがないのか、日本のNHK・BS放送の国際ニュース男性キャスターが何の自己点検もすることなく、米国政府の言うがままに、訪れたことのない国イーラーンを偏見で裁断しているのを見ていると、何とも言えぬ苦い気持ちになってくるのを止めることはできない。私は二度、それぞれ20日あまり訪れたが、ニュースで見せられている様子とはあまりにもちがう。

 さて、この小説の主人公のひとりである女性ヘスタとその幼い娘は罪をとがめるその社会の中で人間としての独立領域の上に立っている。そうしたふたりの尊厳の周囲を取り囲む社会的悪意やある個人の悪魔性もまた描かれている。
 十分独立できていない若いデムズディルは押しつぶされてしまう。
 多くの人物が幽霊か精霊/天使のようであり、(精神的な死)刑の後の死後の世界を描いたようでもある。

 霊的小説であり、奥に含まれているものの質量が大きいためひじょうに厚みがある作品である。緋色の文字とは血の文字ということでもあってホーソーンの心の血によって書かれた本である。小説の方法・技巧的にも優れ、読まないで済ますことはできない小説リストに含まれる。フィードラーの「アメリカ小説における愛と死」もできれば読んでください。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 本作を10年以上前に読んだ時その宗教的テーマが気に入ったので、今回再読してみたのだが、その時感じたことと今回感じたことでほぼ共通しているのは、主人公へスターが自らの姦淫の贖罪の為に胸に付けさせられた緋文字は必ずしも害悪でないということだ。
 姦淫が重大な罪であり、その罪を重く受け止めて相応の贖罪を要すべきことであるという認識は、クリスチャンもしくは何らかの信仰を持つ者なら当然抱くであろう。もちろんそれを社会が強制するところに問題がないわけではないが、そうでもしてかかる罪を社会的に容認しない、移民して間もない当時のピューリタンたちの信仰的姿勢にこそ私は注目したい。
 彼らの信仰者としての真摯な姿勢は、現代の性的に堕落しきった米国社会(日本とて他人事ではないが)が失ってしまったものだ。17世紀の米国独立前のピューリタンの旧約的なまでに戒律主義的な道徳社会が、その維持のためにそういう見せしめを強要したのは、性に対して当時よりはるかに自由な現代日本人には奇異なことであろうが、しかし、思えば、キリスト教理念の下に建国された米国のその後の飛躍的な発展の基礎を築いたのが、他ならぬ彼らピューリタンの移民ではないか。神はかつて米国を祝福したのではないか。神の祝福なくして、あのような繁栄は考えられない。ところが現代のアメリカの道徳的荒廃ぶりの救い難さたるや・・不倫、離婚、10代妊娠、同性愛、近親相姦、ドラッグ等々。道徳的荒廃の進行と米国の国力衰退が無関係であるとどうして言えよう。無論米国にも道徳的再生への取り組みも見られるが。
 へスターが当初、緋文字を受け入れたのは、不倫を犯した相手への愛ゆえであり、緋文字を強要する社会への反感を根底では拭えなかった。その意味では緋文字はただの忌まわしい束縛であり過酷な迫害でしかない。
 だが、終局のへスターの変化が実に微妙である点に注意を要する。怯惰のなかにとどまり続けたディムズデイル牧師が最後に贖罪を満足のうちに受け入れたのに殉じてへスターも自らの意思で・・。へスターが殉じたのは愛だったのか、純然たる贖罪への意志だったか、どちらとも取りうる。
 本作の魅力は宗教的テーマだけではない。主要登場人物たちの心理葛藤劇、幼いパールの言動が何かにつけへスターの罪を告発し続けているのも興味深かった。復讐に生きたチリングワース、だが作者は最後にこの老人への憐憫を忘れていない。
 作者の宗教思想に一部、個人的には異論もあるが、作者の深い宗教的な思索が見事に作品に結実している、宗教文学としては大変読み応えのある作品だ。ホーソーン「緋文字」に米国の原点を見てもよいのではないか。
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15 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
翻訳の品性 2003/11/23
アメリカ文学の古典として、おさえておきたい一冊です。

特にクライマックスの部分の、緊迫した場面の翻訳が非常にうまく、原書はどうなっているのだろう・・・と向学心がわきました。

他社からも出版されているので、比較してみると面白いかもしれません。

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