前巻の最後に出てきた連中の全容が明らかになる序盤を見るに、何だか妖怪大戦争の様相を呈してきた第8巻である。真っ当な人間が少数派に見える状況にあっては、これにキンジやアリアは無関係のようにも見える混沌をも漂わせるが、アリアに隠されていた秘密が別に出てきたので、これらが今後どのように絡むのかが展開の肝となるのであろう。
それにしても、この第2幕というかセカンドシーズンに入ってから進行がやけにスローな気がする。バトルも幾度かあるが前哨戦止まりな感じで、未だ本戦の前段階から抜けていない印象である。マイペースとも言えるが、もしかしたらメディアミックスが軌道に乗った関係で作者が“縛り”から解放されたのでは?と推測する。編集側から自由執筆のお墨付きを貰って伸び伸びと書いているようでもある。
そんな本巻でメインを占めるのが、実はアリアを巡るキンジのライバルの登場とその顛末だったりする。いわゆる恋敵的存在の登場に内心穏やかならぬものを覚えてしまう訳だが、あまりナーバス過剰にならなくてもいいように、彼(ある意味ではアリアのベストパートナーとなるべき宿命にあった人)の“本性”を小出しに見せる配慮もなされている。そして、徐々に苦境に立たせられていったキンジが、最後には自分の真意を自覚せぬままヒストリア・ベルゼにまで昂って「漢」を見せている。また、コスプレ風味な中盤で出てくるサブヒロインの面々に、意外な趣味が判明して可愛らしさがさらにUPしたジャンヌや相変わらずな中空地さんが本巻を程良く賑わしている。
しかし、キンジのニブチンに加えてアリアにも理由を付けてデレ要素を加える律儀な巧みさが今回も出ている。無自覚にデレた後にツンで言い訳する“逆ツンデレ”というか“デレツン”なアリアがこれから見られそうである。