かつて、パイオニアのレーザーディスクに対抗してビクターがVHDというマイナーな製品を世に出していた頃。そのときに運悪くVHDタイトルとしてこの作品は登場しました。VHDの衰退とともにレーザーでは当然のように発売されず、DVDの時代に入ってもなかなか出てこなかったこの作品。コミックスは根強い人気があったのに、とても不遇でかわいそうな作品でした。
この作品の気に入っているところは、二時間という限られた時間の中でちび猫はもちろん、時夫とその両親、時夫の恋人になる三つ編み、それぞれの心情まできっちり描ききっているところです。
特に、生後二ヶ月で(おませさん)時夫を好きになってしまったのに、「猫は人間になれない」のを知ったちび猫が、わざと籠から逃げ出して時夫と三つ編みを引き合わせるところ(ここで流れる「鳥は鳥に」という挿入歌は名曲です!泣けました)とか、最後のほうで猫アレルギーのお母さんが、いなくなったび猫を探して竹やぶに入り、心臓発作を克服してちびを抱き上げ、涙を流すところなんて何度見ても感動します。(この文章だけだと背景が描ききれないのでもどかしいのですが)
とにかく、登場する人、猫それぞれに他人を思いやるやさしい心があふれています。日常の忙しさに毛羽立ってしまった心をやさしく癒してくれます。