今回登場するのは「野鉄砲」、「狐者異(こわい)」、「飛縁魔(ひのえんま)」、「船幽霊」、「死神」、「老人火」の6つの妖怪だ。額に石つぶてをめり込ませた奇妙な死体。何度処刑されてもよみがえる極悪人。そして一国を揺るがす連続殺人事件。妖怪変化のしわざとしか思えない奇怪な事件の影に、又市たちが再び暗躍する。
しかし本書は、前回の単なる焼き直しではない。時系列でまとめると、前作の7つのストーリーの間に今回の各話がそれぞれ差し挟まれるという凝ったつくりとなっている。また「野鉄砲」では事触れの治平、「狐者異」では山猫廻しのおぎんの過去がそれぞれ明らかになる。今回は主要人物たちの内面が、本作の狂言廻しといえる戯作者山岡百介の視点から描きだされ、怪事件そのものに焦点が当てられていた前作に比べ、物語としての奥行きも増している。
さらに後半の「飛縁魔」「船幽霊」「死神」の各話は、それぞれが短編として独立していながらも、土佐の祟り神「七人みさき」をキーワードに複雑に絡みあう仕掛けだ。前作で名前のみの登場だったおぎんの育ての親・御燈(みあかし)の小右衛門がキーマンとしていよいよ登場し、大名家をも巻き込む驚天動地の大仕掛けは一気にクライマックスへとなだれこむ。書き下ろしの最終話「老人火」に待ち構える結末には誰もが驚くことだろう。(中島正敏)
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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
陰と陽の哀しみ,
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レビュー対象商品: 続巷説百物語 (文芸シリーズ) (単行本)
京極夏彦の江戸時代短編シリーズ第2弾。今回は前作「巷説百物語」よりも百介の心情がより描かれる事によって彼の「成長記」として読み解く事ができる。陽(百介)は陰(又一)に心惹かれてゆき、(恐らく)陰もまた陽に心惹かれていくのである。けれども、決してそれら二つは交わる事が許されていないのである。ラストの想像を絶する幕の降り方は、当然と言えば当然のことなのだ。しかし、否だからこそ、こんなにも切なくて仕方がないのである。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
人情話,
By couno "おやじ" (千葉) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 続巷説百物語 (文芸シリーズ) (単行本)
直木賞を受賞した「後巷説」よりも恐らく、ファンのほうではこちらのほうが人気が高いのではないかと思う、「続巷説」。前作「巷説物語」の続編と銘打っているものの、作品の中は単にその後ではなく続きとあるだけに、前作の行間の裏話などがメイン。ただ、最終話は前作の時間軸よりも後、更に言うと百介と又一が二人で仕掛けをしたリアルタイムでの『最後の』話にもなっている。 世界が違う二人を繋ぐものがついに変化してしまう事が悲しくて胸が詰まる。 死に別れではないのだから、会える筈なのに、今までの又一との仕掛けからそれはないということがわかってしまっている。別れは随分一方的に、そして百介の事を思っているからこそ、訪れる。 百介が読者とシンクロする役目を持っているためか、思わず泣いてしまった。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
京極夏彦氏の仕掛けにやられてしまいました。,
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レビュー対象商品: 続巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE) (新書)
巷説百物語も面白かったが、この続編もすばらしい出来だと思う。1つ1つの話は独立しているが、それぞれの中に伏線が織り込まれていて、「七人みさき」を読み進めるうちにその伏線に気づくのだ。きっと「船幽霊」からはなだれ込むように最後まで読破してしまう人も多いのではないだろうか? おススメの読み方としては、一度通して読んでみてから、もう一度読み直してみること。思いもかけないところに伏線が隠されているのが分かるはず。分厚いから根気がいるかも知れないが、京極氏の狙いを推測しながら読むのも面白い読み方かも。 京極堂シリーズとはまた違う世界が楽しめるはず。
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5つ星のうち 5.0
短篇一つひとつが「大仕掛け」に収斂していく構成
◆「野鉄砲」 百介は、実兄である八王子同心・山岡軍八郎から、額に... 続きを読む
投稿日: 2008/5/29 投稿者: あかね
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