よい点は他のレビューアに任せ、あえて疑問点を提示する。米国政府に一貫した親ユダヤ・反ロシアポリシーがあったどうかは疑問である。日露戦争まで米国は南北戦争の恩義から親ロシアであった。日露戦争中も以後もロシアとは友好関係にあった。第2次大戦間であってもルーズベルトが本当にユダヤ人を救出しようとは考えられない。米国はユダヤ難民船の受け入れを拒否すらしている。国家政策としてユダヤ人を救済したのは日本のみである。
著者は満州を日本が独占したかのような記述をしているが、日本は満州を独占はしていない。人口3000万の満州が4億の中国本土の2倍の米国製品を輸入している。満州は米国にとっても大マーケットであった。米国は自国の経済圏である中南米への外国商品の流入を高関税で拒否している。南満州鉄道の枕木、線路、信号等は米国製品を購入している。このため満鉄は「南満州米国鉄道」とまで呼ばれた。著者は米国が中国での反日運動を策動したことには触れていない。米国の対日敵視政策は日露戦争直後からのもので、共産主義者がホワイトハウスを牛耳る以前からのものである。東欧とアジア赤化の責任は米国にある。日本の勢力が大陸に1部にでも残っていれば文化大革命や北朝鮮の惨状は生じなかったのではないか。
日本の統帥の分離や稚拙な外交政策は悔やんでも悔やみきれないが、共産主義とユダヤ人のみをフィルターにして歴史をみるのはいかがなものか。
著者の更なる研鑽・研究を期待する。