作者が<白い音楽>と形容しているように、非常に音楽的な響きを持った作品になっています。
しかも「無をつかむような感触」と「絹」を評しているように、非常に幻想的な「愛」の物語になっています。
従って、幕末の日本は<ジパング>であって、現実の<日本>ではありません。
四度に渡る日本への主人公の渡航から、たどり着くハラ・ケイの里はまるでキリシタンか何かの隠れ里の雰囲気があります。そこで交わされる愛の交換には、声の必要性もなく、それが一層の神秘性を醸し出しています。
そして、ラストで明かされる<愛の手紙>の真実が、更に幻想性を高めて終わります。
リアリズムの小説として出なく、一種のファンタジーとして読むべき作品かもしれません。