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絶望の国の幸福な若者たち
 
 

絶望の国の幸福な若者たち [単行本]

古市 憲寿
5つ星のうち 3.3  レビューをすべて見る (53件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

格差社会のもと、その「不幸」が報じられる若者たち。
だが統計によれば、20代の75%が現在の生活に「満足」している!
これまでの若者論を覆す現実を前に、本書の立場はシンプルだ。
――悲観論にも感情論にも意味はない。
26歳の社会学者が「幸せ」な若者の正体を徹底的に取材し考える!

同時代を生きることになった人々のこと、僕たちが生きることになった国のことを、この本では考えてきた。それは、別に社会全体に向けられた啓蒙意識からでも、少しでもこの国を良くしたいという市民意識からでもない。ただ、「自分」のこと、「自分のまわり」のことを少しでもまともに知りたかっただけなのだ。(本文より)

「今、ここ」が幸せであればいい――。
W杯の深夜、渋谷で騒ぐ若者たち。ネット右翼の主催するデモに集まる若者たち。そして震災を前に、ボランティアや募金に立ち上がる若者たち。
すべての現場に入り調査を重ねた末に見えてくるものは?
最注目の若き社会学者が満を持して立ち上げる、まったく新しい「若者論」!

オビ寄稿:上野千鶴子(社会学者)、小熊英二(慶應大学教授)。
巻末「補章」:佐藤健(俳優)との1万字オーバーの対話を収録。

内容(「BOOK」データベースより)

格差社会のもと、その「不幸」が報じられる若者たち。だが、二〇一〇年の時点で二〇代男子の六五・九%、二〇代女子の七五・二%が現在の生活に「満足」している!これまでの若者論を覆す、「幸せ」を感じている若者の正体を徹底的に取材した最注目の若き社会学者が満を持して立ち上げる、まったく新しい「若者論」。佐藤健(俳優)との特別対談も収録。

登録情報

  • 単行本: 304ページ
  • 出版社: 講談社 (2011/9/6)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062170655
  • ISBN-13: 978-4062170659
  • 発売日: 2011/9/6
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 2.5 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.3  レビューをすべて見る (53件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
若者論の歴史,幸福度の調査から導き出された結果等などは目から鱗が落ちた。本書によれば,現在の若者と定義される人たちは,本田由紀も驚いたことに幸せであって,だから不遇な状態に置かれていても立ち上がらないのだそうだ。一方,社会のために立ち上がる若者の実態についてもインタビューを交えながら紹介しているが,デモ活動をしても的を得ないもので,祭り気分を味わいたい,仲間と一緒に盛り上がれる居場所が欲しいというだけだというものだった。ネット上や一部の雑誌では多少美化されて伝えられているだけに興味深い実態だ。
 幸福の真相について迫っているが,お先真っ暗の裏返しであった。題名だけを読むと反感を持ってしまうが,よく追求されている。しかし,次にあげる疑問が残った。

・若者論は「大人の自分探し」「自己の確認作業」と定義つけるのは違和感を覚えた。異質な他者を認められない傾向があるのは理解できるが、大人だけでなくどの世代もそうではないだろうかと。(第一章「若者」の誕生と終焉)

・出会ったことのない人々で構成された集団を応援し,遠い地の痛ましい事件に心を痛め、政治を気にすることを「おかしい」と断定しているのは、いかがなものであろう。(第三章 崩壊する日本)

・日本における餓死者数に対する数字の扱い方で,「二〇〇九年には一六五六人だっだ」と述べているが、餓死問題を,単なる数字上の問題だけで扱ってよいのか。(第六章 絶望の国の幸福な若者たち)
このレビューは参考になりましたか?
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
後味の悪さ 2012/5/16
形式:単行本
 若者論の歴史的経緯やインタビュー調査とそれに対する分析、までは良い。
将来が悪くなるとわかっているなら、今の幸せを噛み締めようとする若者心理も理解できる。
語り口はシニカルでシャープだ。

 しかし読み進んでいく内に違和感が積り、読後には妙な後味の悪さが残る。
恐らく問題は筆者が終始傍観者の立場を貫き、問題の解決まで論じようとしないことと、
ごく一部の若者像から民主主義や国家論に懐疑的な大風呂敷を広げている点にあるのだろう。
前者に関してはあえて穿ったものの見方をぶつけようとしていることは伝わってくるが、
これは一歩間違えればニヒリズムよりもただの中二病になってしまう。
学者であれば言いっ放しではなく、それなりの分析結果や解決策を提示するのが最低限の仕事であろう。
(本人に学者のつもりがなければそこまでの話なのだが)。

 また筆者が国家や戦争といったゴリゴリのリアリズム的価値観を嫌うことも文面から伝わるが、
「「日本」がなくなっても、かつて「日本」だった国に生きる人々が幸せなのだとしたら、何が問題なのだろう。
国家の存続よりも、国家の歴史よりも、国家の名誉よりも、大切なのは一人一人がいかに生きられるか、ということのはずである」
というのはいかがなものか。
このような主張はかつてのリベラル派が90年代に声高に論じた「脱国家論」や「地球市民」の焼き直しとも取れるが、
本書ではむしろ今の若者はこんな社会にだって身の回りにささやかな幸せを見つけられる、国がなくなったって幸せはあるさ、
という「セカイ系」の考え方に近いように思う。

 しかしこれは妄想だ。仮に今の日本政府がなくなってしまえば、富の再配分はできなくなりインフラ整備もおぼつかない。
貧しいものはますます貧しくなる。警察機構が機能しなければ、メキシコや南アフリカのようなリアル北斗の世界がやってくる。
そして安全保障が機能せず、中国にでも侵略されようものならチベットのような大虐殺と民族浄化が始まる。

 著者によれば今の若者はどこでも幸せに暮らせるそうだから、北朝鮮のようなところでも「よかった探し」ができるのかもしれないが、
自分はそのような社会には適応できそうにないし、今の20代よりさらに下の世代や自分たちの子供にもそんな社会を残したくない。
若者が国家や社会を維持しようとする努力を放棄すれば、その下の世代がより追い込まれることは想像に難くないだろう。

 本書に登場する若者が「何となく幸せ」で、本書の読者がそれを「何となく理解」できるのは、
「絶望の国」とは言いつつも現状では日本が世界的に見ればとても豊かで居心地の良い国であり、
まだ日本人の間でもゆるやかに価値観が共有されているからからだ。
このレビューは参考になりましたか?
83 人中、62人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
先日、『NHKスペシャル』(「危機の時代のリーダーを生み出せ」)で討論番組を放送していた。
そこで初めて、本書の著者、古市憲寿氏の話し姿を見た。

この『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)が各所でもてはやされているのは知っていた。
でも、新進気鋭とはいえ26歳の若手だし、あの綺麗めな?容姿だから、
「いい子いい子した」内容だと思い、黙殺していた。

けれども、実際に彼の話を聞くと、実に賢い社会学者だと思った。
一番気に入ったのは、落ち着いた物腰でいて、実は「トンガって」いる姿。
番組中でも、古市氏の「若さ」ゆえの発言に、「大人の」パネラーがやんわり釘を刺す場面があった。
(その時の古市氏の苦笑いが印象的だった。)
こういう人の感性って、案外鋭かったりするものだ。
そんな古市憲寿氏は一体、どんな意見を主張しているのか。

2010年の時点で、20代男子の65.9%、女子の75.2%が現在の生活に「満足」している。
これが本書の出発点である。

一読して、面白かった。
著者と私は4つしか年齢が違わないせいもあるかもしれないが、ほとんど共感できた。
ここ数年、「閉塞感」という言葉がキーワード化しているように思うが、
どっこい「そんなことないよ」というのが著者の考えである。

大人たちは若い世代を心配してくれているけれども、僕たちはそれほど不幸ではありません。
むしろ、等身大の幸福を享受しているのです。
そんなことに気付かない大人たちって残念ですね。
(もちろん、将来に不安はありますが…)

かなり雑な要約ではあるが、全体としてこんな印象を受けた。
文体が随分と今ドキで、「だって」、「ていうか」、「ヤバい」など、まさか東大の学者が書いた文章とは思えない。
個人的にはこうした軽い書き方はあまり好きではないのだが、変に難解に書かれるよりはよっぽど好感が持てる。
(著者もその辺りについて自覚的なようだ[15〜16ページ]。)
ただし、先行世代のお偉いさん方を平気で小馬鹿にするなど、結構ヒヤヒヤする場面があることは確かだ。

要は、「若者論はもう死んだ」ということか。
多様化が進んで久しい今、もはや「世代」で社会を語ることに意味が無くなった。
加えて言えるのは、今の若年層は、日常の中から「小さな幸せ」を見つけ、
それをリアルタイムで実感する能力に長けている、ということ(266ページ)。
だから、一見息苦しい時代の中にあっても、生活に「満足」を感じられるのであろう。
(著者は日本の現状を「成熟した現代の社会」[13ページ]と認識している。)

ただし、忘れてはならないことがあると思う。
それは、その「『満足』を感じられる」環境が「与えられたもの」である、ということ。
「インフラとしての日本」(121ページ)は先行世代が獲得してきた苦労の産物なのである。
もっとも、同時に負の遺産も同等(それ以上?)に遺してくれているから、五分五分なのかもしれないが。

著者にはその感覚がない。
「若者論」は大人たちの「自己の確認作業」(60ページ)というのも一理あるが、
おそらく、大人がよくする(そして、若者がウンザリしている)若者批判は、大体は嫉妬である。
年長の世代が「俺の若い頃なんかなあ」なんて言葉を放った時。
それは、彼らの辛苦に対するねぎらいの言葉を期待している時なのである。

とにかく、色々と考えさせられた。
それは、本書が良書である何よりの証拠である。

不満は、〈註〉に余計なことばかり書いてあるところ。
本を私的な交流に利用すべきでない。
あと、日本が「民主主義の構築に失敗したのかもしれない」(258ページ〜)という部分。
著者が「民主主義」をどう定義しているのかよく分からない。
もう少し詰めて説明して欲しかった。
最後に、意外と結論が尻すぼみなところ(こればっかりは仕方ないか)。

さわりだけ知りたい方には、
雑誌『BRUTUS』723号(2012.01)をお薦めする。
國分功一郎氏との対談が載ってます。
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