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宮台氏はまずポストモダニズム批判を通して、現代という時代の位置付けを行う。それによると、現代は「後期近代」であり、近代を支えた夢が急速にシステムと両立できなくなってきている時代である。
そのため様々な問題が噴出するわけだが、宮台氏はここで「表現」と「表出」の違いを説明する。実際の法制論議を題材に、くさいものに蓋をし、あるいは自己の感情を吐露し、やれやれと安心を得る「表出」的思考(例えば近代が「伝統」を「発見」するというマンハイムの議論も知らず、たかだか昭和30年代の思い出を「伝統」としてすがる無教養な「伝統」主義)を批判し、徹底した戦略的思耡?に立って可能な社会・実効的な政策のあり方を探る「表現」的思考を示す。そして、日本にはそういう思考をもったエリートが市民にも官僚にも政治家にもいないと指摘する。
蔓延する「表出」的思考。宮台氏の立場からは、「伝統」主義もポストモダニズムも、現実を直視できないロマン主義者を慰撫するだけの救済の神学に過ぎない。絶望の足らない連中はロマンにすがり、問題を温存する。現代社会(後期近代)を直視することは、我々を支えていた近代のロマンを崩壊させるが、その痛みに耐え、古い夢をすて(すなわち絶望し)、古い夢の再生(反動)ではなく、これから可能な価値観・システムを探ること(=近代を徹底すること)こそが、とりうる道である、と、宮台氏は説く。
宮台氏の読者にとって本書に目新しさはないが、北極星のように動かず、一貫した論理を展開していることは信頼性の証明であり、我々に確かな道を示す。思考整理の為にもおすすめ、特にアジア主義の論考は近代を徹底する立場の人間にも応用問題になる。
初めての人には少し難解なので、『これが答えだ!』(朝日文庫)を読んでからのほうがいい
宮台氏を「サブカルテレクラ援交野郎」だと未だに思っている方がいるなら、少しだけでも読まれるのがよろしいかと思います。
初めて読むのにも適しているように思えますし、ちょこちょこ宮台氏をチェックしている方には、見たことがある話題ばかりかも知れませんが、宮台氏の関心をまとまって理解できるという点では有意義だと思います。
ただし、読後感はかなり悪いです。まさしく「絶望から出発しよう」です。
おそらく宮台氏が抱えているであろう絶望感を一手に負わされる感じがします。問題があるとすれば、「それはお前の絶望で、オレには関係ないぞ」といった反論の可能性ですが、現在の社会に少なからぬ閉塞感なり絶望を感じている方なら、宮台氏に共感できましょう。
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