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絶対音感 (新潮文庫)
 
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絶対音感 (新潮文庫) [文庫]

最相 葉月
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 「絶対音感」とは、ある音を聞いたときに、ほかの音と比べなくてもラやドといった音名が瞬時にわかる能力である。これがあると、一度曲を聴いただけで楽器を弾いたり楽譜に書いたりでき、小鳥のさえずりや救急車のサイレンの音程がわかったりもする。過去の偉大な音楽家のベートーベンやモーツァルトにはあったとされ、一般人に計り知れない能力として、天才音楽家の条件のように言われることが多い。

   しかし、「そもそも曖昧であるはずの人間の感覚が“絶対”とは何なのか。そんな疑問と語感の強さに引かれ、翌日辞典を開いたその瞬間にはもう、その言葉のとらわれの身」となり、著者は絶対音感という神話を解き明かそうと試みる。五嶋みどり、千住真理子、矢野顕子、大西順子、笈田敏夫ら絶対音感をもつ音楽家を取材し、その特異な世界を紹介しつつ、脳科学や神経科学の専門家たちにあたって分析を試みる。音楽と科学の間を行き交いながら、絶対音感にも仮性と真性があるなど、「絶対音感=万能」という安易な幻想と誤解を一枚一枚引きはがしてゆく。

   過剰な表現や構成力の不足はあるものの、本書は第4回「週刊ポスト」「SAPIO」21世紀国際ノンフィクション大賞を受賞し、著者の出世作となった。裏を返せば、それだけこのテーマがおもしろい証拠だろう。一般人とは無縁の音楽家たちの深遠な世界が興味深い。また、五線譜のエンボスを施したオフホワイトの装丁が上品で好ましい。(齋藤聡海) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

商品の説明

第4回(1997年) 小学館ノンフィクション大賞受賞

登録情報

  • 文庫: 430ページ
  • 出版社: 新潮社 (2006/04)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4101482233
  • ISBN-13: 978-4101482231
  • 発売日: 2006/04
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (40件のカスタマーレビュー)
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29 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 音楽の「本質」に肉薄, 2007/4/24
レビュー対象商品: 絶対音感 (新潮文庫) (文庫)
ノンフィクション著作で、聞いた音の音程が正しく分かるという「絶対音感」というテーマだけで、これだけのボリュームの本が書けるものなのかと、見たときには正直ちょっと驚きでした。

が、読んでみて納得できました。

著者がこの本を書くきっかけは、たしかに「『絶対音感』について調べてみたい」ということだったわけですが、それの調べ方が半端ではなく、音楽と音の科学の両方の側面から、きわめて多数の専門家に直接アプローチして様々な知見を引き出し、総合的にまとめようとした結果、最終的には、単に「絶対音感とは何か」というテーマを超え、「音楽とは何か。人はなぜ音楽に感動するのか」にまで踏み込んだ論述がなされるまでになっていました。

しかも、専門家へのアプローチの仕方も、単に断片的に聞きかじるのではなく、作者自身で科学的な内容を咀嚼し、また、音楽家の人生を細部まで調べ、共感を持って接し、そうした上で言葉を紡ぎ出しています。これなら、これだけのボリュームになるのは当然でしょう。

そして、作者のその労苦に釣り合うだけ、ものすごく濃い内容の音楽論であり、しかも同時に実に感動的なドキュメンタリー小説になったのがこの本だと思いました。

不覚にも、僕は文庫になるまでこの本のことは知らなかったのですが、1998年の初刊時にも非常に話題になった本だそうで、それも宜成るかな、です。

絶対音感を巡る、音楽家の様々なエピソードや、科学的な知見の数々も読み応えがありますが、僕にとってとりわけ感動的だったのが、第8章「心の扉」で小説タッチに描かれた、世界的バイオリニスト五嶋みどり一家の人生模様でした。これを読んで、あまりのすさまじさに、打ちのめされた思いでした。

これを読んでしまうと、今まで何気なく聞いていたクラシックも、これからは相当違った聞こえ方になってしまうでしょう。それだけのインパクトのあるエピソードでした。中身は、読んでみてのお楽しみと言うことで、ここには書きません。

文庫で400ページ以上もあり、最近のライトなビジネス書に慣れた身には、やや重い本でしたが、十二分にそれだけの価値のある本でした。音楽好きの人にはもちろん、そうでない人にも、一読を強くおすすめします。
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16 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 絶対音感を越えて, 2007/6/10
レビュー対象商品: 絶対音感 (新潮文庫) (文庫)
クラシックと武満徹の音楽を愛聴しているので、絶対音感について書いてあるこの本を読んでみました。クラシック音楽家には絶対音感を持っている人もそうでない人もいます。その違いを確かめたかったのです。読んでみると絶対音感とは非常にやっかいなもので、それがあるために、まともに音楽を聴くことが出来なくなってしまう人もいるそうです。演奏家も絶対音感のせいで苦しむ場合もある。まさに絶対音感は諸刃の剣だと思いました。演奏家にも絶対音感がある人も無い人もいますが、それを越えたところに音楽の本質があるという著者の意見に賛同しました。すばらしい音楽を作るには、絶対音感よりも重要な要素がある。早期教育で絶対音感を子供に身に付けさせたい親御さんもいると思いますが、そうであるなら子供を音楽家にする責任と覚悟を持つべきです。それほどの事をこの本は提示しています。なかなかに興味深い本でした。登場する音楽家や作曲家のことを知っていないと読みづらいので、星四つとします。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0 前半よし、後半はちょっと…, 2010/6/18
レビュー対象商品: 絶対音感 (新潮文庫) (文庫)
音楽を生業としていますので、興味深く読みましたが、ちょっと文章が読み難いです。
同じような論拠の提示の仕方を何度も繰り返すので、半分目にはもういいよと思いました。
後半部分が、絶対音感と関係ない話ばかりで、何も解決や提案、疑問の提示にもなっていないと感じて、読み終わった後にかなりの消化不良です。この本のおかげで絶対音感という言葉が一般の方にもよく知られるようになりましたが、悪い意味で知られるようになったのではないか、と、思います。
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