世界の貧困については、国際機関が出している各種統計があるし、ジャーナリスト達による現場のルポルタージュはあっても、世界の貧困者の生活を体系的に捉えた書物は珍しい。
例えば「路上生活者」を分類し、その中の「物乞い」について、そのヒエラルキー、ライフスタイル、ビジネスモデルを明らかにするといった具合に、彼らの生活を一つのシステムとして、とはいえ温かい眼差しを持って報告している。
彼らを「貧困」だけで捉えてはいけない。彼らにも衣食住を中心として生活があり、家族があり、恋もすれば性生活もある。住居、医療、食事、犯罪、ドラッグ、売春、障害、出産、育児、商売、あらゆる方面から貧困層の生活を、ユーモアも交えて描き出すことに成功している。
これは、世界中を歩きその中で暮らしてきた著者にしかできない力業だと言えるし、今までのルポが体系化されることで、「かわいそう」「残酷」という情緒を超えた、貧困にまつわる社会システムを理解する最適な入門書となっている。
読み進めるのは辛いし、読めば読むほど解決の難しさが理解できるのだが、それでも世界の貧困を見つめるには、本書の視点からスタートするしかない。多くの人に読まれることを願う。