まえがきによると、著者の河井真奈さんは、職歴25年を迎えようかというベテランスタイリスト。本書の内容も、長年ファッションの現場に立ち会い、ファッションと真摯に向き合ってきたからこそ培われたであろう審美眼や作り手への愛情が感じられます。
その構成は、スタイリスト人生を通じて“おすすめ!”と感じた100個のアイテムをアートブックさながらの美しい写真とともに紹介するというシンプルなつくり。ブランドの歴史やデザイナーのエピソードをひも解きながらの解説はそれだけでも興味深く面白いですが、そこに、河井さん自身が身につけ使ってみて実感した心地よさや高揚感を織り交ぜながら語られているので、説得力があります。また、各アイテムが日々それぞれの場面で活躍している様子が想像されやすいので、高級ブランドの名品もなんとなく身近に感じられたり。あまりにも自分とかけ離れた単なる“名品図鑑”では途中で飽きてしまいそうですが、本書は最後までワクワクしながら読むことができました。
さらに、プロの視点から、それらをより魅力的に見せる着こなし方や、エレガントな女性になるためのモノとの付き合い方というような話も散りばめられていて、オンナ磨きの指南書のような一面も・・・。
私は、本書を読み終えて、久々に“ファッションの力”について考えさせられました。それはすなわち、作り手が妥協せず美を追求する姿勢、そしてそれを汲み取って丁寧に選ぶこと、永く愛着を持って接していくこと。そういう“想い”の詰まったファッションは、確かに、時にパワーの源になることもあるのだと思います。もう一度“おしゃれを真剣に楽しんでみたい”、そんな気持ちにさせられた一冊でした。