このシリーズは、ついついエロの部分に注目してしまいがちですが、単純に「変態」というなかれ。決してそれだけの本ではありません。
前巻のレビューでも書きましたが、エロの描写があることによって、インターネット、チャットという無機質な存在との対比において、リアルさ、生々しさを深く感じさせることが出来ます。
にゃー様の正体を探るはずが、まさにミイラ取りがミイラになった輪玖。それは家族のこと、香苗のこと、学校のことなど、一種の「疑心暗鬼」で疲れた心の隙間を埋めるようににゃー様にのめり込んでしまいます。
香苗に対する「行為」も、若者だから単に溜まっているあるいはにゃー様のアドバイス…という側面だけでなく、香苗ににゃー様の姿を重ね、ネット上では絶対服従させられている代償行為としてしていると想像できます。これはある意味、イジメ側に回ったイジメられっ子と似ているのではないかと思います。
そこに、自分のネット上の「秘密」を知る妹が登場します。それも、いかにも自分がにゃー様であると言わんばかりの格好と言動に、「にゃー様は誰なのか?」という疑問がどうでもよくなり始めていた輪玖の心が乱されます。
にゃー様の正体はわからないのに、自分のことはバレている…。
何故?にゃー様は一体誰?
そんな輪玖の心の動きは、相手の正体は不明なのに、自分だけ知られているという気持ち悪さ…一種のサイコホラー的な要素が感じられます。
とにかく、表紙絵からは想像できない精神的に不安定な物語。たまたま登場人物は中学生ですが、高校生や大学生に取って代わっても十分サマになると思います。まあ、中学生のほうがより背徳感が強く感じられるところがミソですね。
この緊張感が面白いと感じます。ますます次が気になる★5つです。