本書を貫く著者の願いは、「組織(行政)も個人(あなた)も幸せ、お客様(国民)も幸せ!」 である。括弧部分を削れば、官民僧俗を問わない理想の姿であるから、本書は公務員でない人に読まれてもよいものである。かく言う私も、悪質クレーマー対応や人材教育の方面から本書に偶然行き当たったが、ラッキーだったと思う。
まずは公務員を生業としながらこの理想を実現するためには、実際の生活の中で何をし、何に気を付け、何を避けるべきか。著者の処方箋はとにかく具体的である。読者の側で一つでも二つでもその処方を生活習慣化できれば、充分に本書の効能は顕われたと思うべきである。欲張ることを読者に要求する本ではない。盲従を強いることもない。
いたるところにグッドアイデアがちりばめられている本書であるが、なかんずく26〜29ページの「自信に根拠は不要」の一項はお薦めできる。とりわけ生真面目に働き詰め、成果の不首尾の理由を自分にばかり求め、挙句は自分を責めてしまうような善い人にとって、ここでの語りかけは闇の中の光明になる可能性が高い。
それにしても、「1時間前後で読める分量を目指し」た結果がこの本である。初回通読に4、5時間が優にかかってしまった自分からすれば、著者なり本当に1時間で目を通せる読者なり、そんな人達の理解力・把握力の水準には驚愕するほかない。
ぎょうせい刊行にしては誤字脱字が目立ち、終盤になると編集が粗いなと感じる箇所が目に付くので、☆を一つ削ってしまったが、著者の温かみが伝わる良書である。