IPv4枯渇対策とIPv6に関して過去の日経NETWORKの記事をまとめたムック。Part1はIPv4アドレスが枯渇するまでの過去を振り返る企画である。この企画は過去の掲載時期が明記されたうえで加筆修正されていないため、当時の情勢が再確認できる歴史書として活用できる。続くPart2の「IPv6の基礎を知る」に、「はじめてのWindows7ネットワーク」が収録されているのは奇妙である。この企画は全部で6回のシリーズものであるが、直接的にIPv6に絡んでくるのは第2回の「TCP/IPの基本」だけである。この企画のように、ファイアウォール、無線LAN、HomeServerなどIPv6とは関係のない項目で大半を占めるテーマを持ち込むのは不可思議だ。Part2の「IPv6の基礎を知る」の本題から外れているのは明らかである。本書のタイトルとも当然、一致しない内容を収録するのはいかがなものか?
タイトルには”IPv6移行”と書かれているが、移行に関しては実践的な内容よりも全般的に抽象論が多い。ルーターやUTMなどの通信機器のIPv6対応状況などは一覧にまとめられているが、雑然とした内容が多い。実際にシステムを構築するエンジニアにとっては具体的で実践的な内容がほしいところである。
ところで、142ページのQ&Aでは易しく「6to4」が説明されている。2009年当時の掲載をそのまま使ったためか、2011年になってIETFで議論されている「6to4」の”Historic status”の件が、このページでは一切述べられていない。過去の掲載を安易に再利用するのではなく、今一度吟味した上で最新の情報を提供すべきである。