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火村の強靭さともろさの両面性は、推理の面白さと共に読者をひきつける魅力である。「絶叫城」ではかつてないタイプの犯罪者に対峙する中で、自らを削ることによって砥ぎ澄まされていく刃のような美しさがある。時に非情、時にストイック、そして途轍もなく優しい彼の軌跡は、是非これまでの作品で読んでほしい。
この『絶叫城殺人事件』以降、親友アリスと火村教授の位置づけがよりはっきりしてくる。
同じ途方もない”淵”を覗くようになっても、どこか少年同士のような初々しさを残しつつ、それでいて口には出さずとも大人の友情を確立している・・・暗い雰囲気が増しても、このコンビには、いつもどこか救われる。この『絶叫城殺人事件』は、シリーズの素晴らしい里程標といえるだろう。この後の作品『マレー鉄道の殺人』では、初めて外国での殺人に挑む。熱帯の空気も手伝ってか、明るさはあってホッとするし、お互いのボケツッコミもますます快調。ただこの作品ではアリスはついに火村にズバリ問うている。
「・・・お前は何と戦っとるんや?」
また、『「ABC」殺人事件』における、アリスの火村に対する「心の平安の対極ばかりを見つめている」という表現も言いえて妙だ。そして実のところ、作家という仕事に生かしもしないのに実際の犯罪捜査にアリスもついて回っている理由は、この強さと脆さをもった友人を見守りたい、という気持ちからであると正直に吐露している。いささか先走ってしまったが、「絶叫城」以降より魅力あるものになったこのコンビの先がますます楽しみなのである。早く新作の長編が読みたいものだ。
火村の強靭さともろさの両面性は、推理の面白さと共に読者をひきつける魅力である。「絶叫城」ではかつてないタイプの犯罪者に対峙する中で、自らを削ることによって砥ぎ澄まされていく刃のような美しさがある。時に非情、時にストイック、そして途轍もなく優しい彼の軌跡は、是非これまでの作品で読んでほしい。
この『絶叫城殺人事件』以降、親友アリスと火村教授の位置づけがよりはっきりしてくる。
同じ途方もない”淵”を覗くようになっても、どこか少年同士のような初々しさを残しつつ、それでいて口には出さずとも大人の友情を確立している・・・暗い雰囲気が増しても、このコンビには、いつもどこか救われる。この『絶叫城殺人事件』は、シリーズの素晴らしい里程標といえるだろう。この後の作品『マレー鉄道の殺人』では、初めて外国での殺人に挑む。熱帯の空気も手伝ってか、明るさはあってホッとするし、お互いのボケツッコミもますます快調。ただこの作品ではアリスはついに火村にズバリ問うている。
「・・・お前は何と戦っとるんや?」
また、『「ABC」殺人事件』における、アリスの火村に対する「心の平安の対極ばかりを見つめている」という表現も言いえて妙だ。そして実のところ、作家という仕事に生かしもしないのに実際の犯罪捜査にアリスもついて回っている理由は、この強さと脆さをもった友人を見守りたい、という気持ちからであると正直に吐露している。いささか先走ってしまったが、「絶叫城」以降より魅力あるものになったこのコンビの先がますます楽しみなのである。
犯罪社会学者の火村英生(ひむら ひでお)、推理小説作家の有栖川有栖(ありすがわ ありす)。ホームズとワトスンを思わせるふたりがコンビを組んで、殺人事件の謎に挑む話が六つ。「黒鳥亭殺人事件」「壺中庵殺人事件」「月宮殿殺人事件」「雪華楼殺人事件」「紅雨荘殺人事件」「絶叫城殺人事件」が収録された作品集です。
このなかでは、「黒鳥亭殺人事件」と「絶叫城殺人事件」の二作品が断然魅力的。他の作品と比べて、傑出した出来映えでした。
「黒鳥亭」「絶叫城」とも、×××が事件の重要なファクターとなっています。それが本筋の事件とどう結びつくのか。迷った末に伏せ字にしましたが、この×××と事件との絡ませ具合が巧いですね。
また、読後に響く余韻ということでも味わいのある、印象に残る両作品でした。
火村とアリスの良きパートナーぶりが伺えるという点では、表題作の「絶叫城」が一番でしょう。文庫では、312~313頁にかけての記述。火村を気遣うアリスの独白に、ぐっときました。
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