「良い絵本とは?」次々と多様な絵本が出版される中で私たちが抱く素朴な疑問への答えと、絵本の世界の奥深さを伝えてくれる本。
著者は、絵本編集者として第一人者の松居直氏。彼が言う良い絵本の条件とは「確かな手ごたえのある世界が存在しているような絵本で、子どもが入っていって楽しむことができる絵本」(p.5)だという。
そのような絵本作りのために著者はさし絵、構成、その調和や、編集、画家や作家の条件など、様々な工夫やこだわりを説明するが、それらを読むと一冊の優れた絵本は、絵本作りに携わる人たちの才能のきらめきと膨大な労力のエッセンスなのだということが分かる。子どもの読み物と侮るなかれ。読む側の見方によっては、数え切れないほどの驚きや発見を与えてくれる。
それだけでなく、著者は子どもに「良い本」を与えればよいというのではないということも強調する。曰く「絵本は子どもに読ませる本ではなく、大人が子どもに読んであげる本」(p.3)。豊かな人間関係の中で語られる心のこもった言葉こそが、子どもの心に深く刻まれ、子どもを育む力となっていくという。
単に絵本の解説のみならず、未来を担う子どもたちに何を伝えたいのかという大きな願いを基盤として絵本を見つめた一冊。