筆者の細馬宏通氏は、彦根市在住の滋賀県立大学人間文化学部准教授です。研究のために明治時代に発行された古い絵ハガキを収集している内に、筆者が住んでいる彦根の昔の姿を写した絵はがきが沢山集まってきました。
現代とは相当様子が変わっており、被写体となった場所もなかなか特定出来ませんので、村の古老を訪ねて、当時の絵ハガキと現代の様子を対比させて彦根の街の変貌ぶりを探った本です。
その地を自転車に乗って訪ねて行くうちに彦根の街の発展ぶりや人々の生活の変化を浮き上がらせるという内容になっていました。コラムに書かれた知識も詳しく、絵ハガキについて必要な知識も得られるようになっていました。
琵琶湖の沿岸や堀の状態など現在とは相当違っているのに驚かされました。昔の琵琶湖沿岸の彦根港の変遷は興味深かったです。すぐ近くの彦根プリンスホテルに宿泊したこともあり、その付近の明治と現代との比較写真は浦島太郎のような雰囲気が漂っていました。
本書の内容です。はじめに、1章 大洞絵はがき(写真師のいた場所、丸子船の通った内湖)、2章 岩の記憶(磯山の湖岸、磯の道、岩を探す、烏帽子岩異聞)、3章 遠い客船−長曽根港絵はがき− 、4章 港湾運河を遡る(彦根シャンソンと島巡り)、5章 湖月楼、6章 飛行機のある風景(彦根の空、合成の理由、陸軍大演習、徳川好徳と彦根、湖底の零戦)、7章 写真と写真師のあいだ、8章 楽々園前の影(影と樹木)、9章 玄宮園と楽々園(外国から見た日本、絵はがきの中の木々、庭園の変化)、コラム(絵はがきの時代推定いろいろ、古い絵はがきは質がよい、片目をつぶって絵はがきを見る、古いパンフレットを読み解く)、あとがき