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25 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
アフリカを知ることの難しさとそのもどかしさを伝えるルポルタージュ風エッセイ。,
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レビュー対象商品: 絵はがきにされた少年 (単行本)
著者は毎日新聞記者。6年の特派員時代に出会ったアフリカの人々を描く本書を読んで私が感じたのは、著者の中に渦巻く3種の感情です。貧困と差別の大陸アフリカというステレオタイプに対する「苛立ち」。 そうした誤解が自分の属するメディアの積み上げてきたものだという「居心地の悪さ」。 メディアはその誤解をクリアできるのかという「焦り」。 著者はメディアが大量生産するアフリカ的風景に抗するように、自らの足で灼熱の大陸を歩いて記事を書いていきます。時には息子とともにバスを降り、バスに乗れない現地の人々の目線で町を見ることを試したりもするのです。息子は父親のその意図を理解するにはまだ幼いのか、それともその意図に何か釈然としないものを感じ取っているのか、不満げな様子を見せます。「どうして僕たち歩いているの」と題するこの一編は大変優れたエッセイとして読みました。 しかし著者は取材活動を続けながら、メディアがアフリカを伝えることの限界を感じているようです。それは著者が、サミット会場で「貧富の格差是正」を叫ぶデモの若者たちに対して次の言葉を綴ってしまう点に現れています。 「一年でいいからアフリカに行って自分の暮らしを打ち立ててみたらいいと思う」。 しかし私は同意しません。アフリカに暮らした者だけが南北問題を論じる資格があるというのなら、ジャーナリズムの存在意義を否定することになります。著者はこうした若者を「経験もないくせに」と叱りつけるのではなく、そんな彼らに情報と疑似体験を与えるための報道を目指すことにこそ精力を傾けるべきです。 とはいうものの、「アフリカを知らない」私のような読者にも、著者がアフリカの真の姿を伝えたいという思いは痛いほど伝わる書です。 そしてまた、そのもどかしげな思いを、アフリカに暮らした著者ですら、十分に果たすことができない大陸。それがアフリカの姿なのかもしれません。
26 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
アフリカに関して語れること,
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レビュー対象商品: 絵はがきにされた少年 (単行本)
題から想像した内容とはだいぶ印象が違ったが、それもまた作者の狙いなのかもしれない。なぜなら、そもそも本書の内容が我々が勝手に想像しているであろう典型的なアフリカ像をそのまま飲み込んでいいのか?そんなに単純に線が引けることではないだろう?という問題提起をも含んでいるからだ。貧困や飢餓の問題、差別意識、民族間の大量虐殺、先進国による搾取、一般論が語ってきた言葉はいつもどこか遠く、いかにもなアフリカ像に集約する。曰く、「彼らはこんなに辛い目に遭っている、我々にできる援助はなんだろう?」でも、実際に彼らひとりひとりが感じているものはもっと現実的な日々の生活に寄り添った何かなのだ。ありきたりの一般論に語れることなど少ないのだから、という作者の意識であり諦念が、あの巨大な大陸のほんの一部についてしか話せないにせよ、戸惑いながらも正直に言葉を紡いでいく。思えば、観光客として南アフリカ共和国を訪れた私も、帰国後に自分の語る言葉の陳腐さに自己嫌悪に落ち込んだものだった。もちろん、作者が過ごした時間に比べあまりに短い時間の中で何を見られただろう?という疑問もあるが、それにしても語りえないことを語ることにこそ、ジャーナリストの存在意義があるはずだ。開高健ノンフィクション賞受賞も納得の誠実で率直なノンフィクション。
12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
南部アフリカの人、一人ひとりの考えが伝わる,
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レビュー対象商品: 絵はがきにされた少年 (単行本)
南アフリカ共和国、レソト、スワジランド、ルワンダ、アンゴラ…、広大な南部アフリカ地域を自らの足で歩き、一人ひとりの生きた声を拾い、現代史に位置づけ、J・M・クッツェーの小説に照らす等、新鮮な視点を提示してくれる秀作。私などには皆同じ顔に見えてしまう南部アフリカの人びとにも、当たり前だが一人ひとりの人生観があるのだということを知らせてくれたのは、この上なく貴重なことと思う。 たとえお金と暇があっても、日本人や欧米人のように地球のあちこちを見て歩くことはしないだろう。それよりも家族や友人とうまい物を食べ、話をしているほうがいい。すぐそこにいる友人が何を考えているかさえ分からないのだから。我々はどだいが知りたがり屋ではない、と語る老教師、カベディ・タキジさん。 我々は鎖につながれて行ったのではない。あなたの国のようないい待遇ではないかもしれないが、働く、仕事を持てることがこんなに幸せなことだったのかとわかった。自分の人生で、チームリーダーになれたときほど嬉しいことはなかった。奴隷なんかじゃありません、と言う元鉱夫、モラオア・マタディさん。 いずれに対しても、先進国の物差しで反論や揶揄することは簡単かもしれません。でも私はもっと彼らの話を聞きたいと思いました。これまであまりにも聞いてこなかった、聴く努力を怠ってきたと感じます。
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