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絵のない絵本 (岩波文庫)
 
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絵のない絵本 (岩波文庫) [文庫]

アンデルセン , 大畑 末吉
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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絵のない絵本 (岩波文庫) + アンデルセン童話集 1 改版―完訳 (岩波文庫 赤 740-1)
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登録情報

  • 文庫: 111ページ
  • 出版社: 岩波書店; 改版 (1975/11/17)
  • ISBN-10: 400327413X
  • ISBN-13: 978-4003274132
  • 発売日: 1975/11/17
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 0.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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世界を旅するお月様が語る世界中の人々の物語です。全部で32夜あるのは,月の満ち欠けと関係があるのでしょうか。
青白い月の光の中では,人間の幸せも悲劇も,一様にきれいです。

アンデルセンはもともと大人の童話作家ですが,この作品は特にその傾向が強いように思います。
僕の好きなのは,第18夜。

芸術を深く愛しながら,才能のない青年が舞台を降りたとき,どうなるのか。

太陽でも神様でもなく,月だけが見ていた物語です。

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 飛行機がない時代、映画やTVやインターネットがない時代、世界は今よりずっと広かったはずだ。

 19世紀に異国を想うことは、どれほどに想像力を掻き立てたことだろう。旅への憧憬は、どれほどに強かったことだろう。

 この小さな文庫本は、貧しい画家と設定された語り手による短い序文と「第一夜」から「第三十三夜」と題されたの33の「超短編」から成る。擬人化された月が、貧しい絵描きに、一夜につきひとつずつ、ささやかなお話を語って聴かせるという設定だ。それぞれのお話は、3〜4ページほど。幾星霜どんな遠くの場所も観てきた月は、外国のあちこちの話をする。いろんな人が出てくる。でも、月が照らしだすのは、下品な異国趣味を満足させるような低俗なものではなくて、むしろ、泣いたり喜んだりする幼い子どもたち、芸術への熱情はあるのに才能がなくて孤独に自死した俳優、廃墟となった宮殿…、つまりは、確かに今この貧しい画家のいるところには存在しないし、ひとりで想像するのは難しいけれど、でも、間違いなく普遍的で時代を超えてゆくはずの他愛無いお話、ときに微笑ましく、ときに哀しい風景なのだ。

 月が柔らかな光で包み、優しく語ったいくつもの風景を、あるいは、古今東西の、ひとりひとりの人が普段の暮らしの中で大切に抱いてきた思いを、この貧しい画家はうまく絵筆で捉えて、絵にすることができただろうか。これについては、何も語られていない。けれども、間違いないのは、このアンデルセンの小品は、僕たちが読みながら常に、豊かな心象を描き続けることになる、まさに『絵のない絵本』だ、ということだ。

 (僕が読んだのは1975年改訳の岩波文庫版で、とてもチャーミングだったが、別の翻訳もいくつか出ている。ご自身のお気に入りを見つけてくださればと思う。)
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