「絵で見る十字軍物語」という題名にもある通り、ビジュアル面から十字軍史に近づくことが出来る良書です。
絵の数はおよそ100。左右2ページの見開きで、片方(左ページ)に絵が、もう片方(右ページ)にその絵のエピソードの説明と、
そのエピソードが展開した場所の地図が載っています。
挿絵は、19世紀を代表する挿絵画家であるギュスターヴ・ドレのもの。
精緻で美しい絵で、特にサラディンの挿絵には目を見張る物があります。
エピソードの説明は、フランソワ・ミショーの「十字軍の歴史」の文章を下地に
塩野七生氏が書き下ろした物で、簡潔、かつとても分かりやすい物となっています。
この本一冊を読めば、知識ゼロの人でも十字軍史の要点は掴むことができるでしょう。
ただ、この本は同氏の「十字軍物語」シリーズの第一弾、入門書という位置づけですから、細かい説明などは書かれていません。
なお、十字軍史の本にありがちな「極端なキリスト教寄り」といった事もこの本にはありません。
ただ、下地の「十字軍の歴史」がキリスト教徒の筆によるものなので、ごく僅かにキリスト教寄りである事は感じられます。
しかし、気にする程の事ではないでしょう。
なによりも、絵によって具体的なイメージが掴める、というのがこの本の大きなポイントです。
知識ゼロの人からマニアの人まで、十分満足できるものと思います。