いやー、おかしかった。さんざん笑いました。
これってエッセイ、なんだよね?でも、とてもエッセイとは思えない。絲山秋子の小説と全く同じテンションで、通して読むと小説一本読んだような感じです。
そもそも絲山さんの小説って、ものすごい細かくて手間ひまのかかる仕込みをした肉と野菜を、何日間もアクをすくいながらコトコト煮込んで、秘伝の味付けをほどこしたのちに、沢山あった具をぜーんぶ濾してしまってできあがった、透明なスープ、味に一切の隙がなく無駄もない……って感じでしょ。このエッセイも同様で、書き流した感じはなくて、計算され尽くしている(タイトルの、ただ炒めただけで美味しい豚キムチ、とはまさに正反対)……のに。文中でつくられている料理は、すーっごくテキトーで手間がかかってない。そのギャップに大笑いなんだよね。市販のイカ墨ソースに残った餅入れてみたり、ポトフを大量につくりすぎてうんざりしたり、素麺が余りすぎてドライカレー素麺つくったけど、「ごはん、ください」な気分で泣きそうになったり。もうめちゃくちゃ。大爆笑です。出てくる料理、つくりたくはないけど。しいていえば47ページの鶏丼か?ごはんに千切りレタスと煮た鶏と煮卵とその煮汁とマヨネーズ少々。でも、このレシピどおりだと、鶏冷めてるし(笑)。まあ、何をつくっても酒のつまみみたいになってしまうところには、親近感、感じるが(苦笑)。
よしながふみの「きのう何食べた?」と金井美恵子の「待つこと、忘れること?」はキッチンに置くけど、この本は置きません。でも、別の意味で美味しかった(爆笑)。もちろん笑えるだけでなくて、ふいに虚しくなったり悲しくなったりせつなくなったりするところは、もう、本当に小説並の美味しさです。ごちそうさまでした。