統合失調症患者としての本書のレビューです
男性、十代の内に発症、医師からは指定されたことはありませんが、おそらく破瓜型に分類されると思います
統合失調症に罹り、この病気について知ることが必要と感じ主に情報収集の目的のため本書を読みました
内容についてはNPO法人の地域精神保健福祉機構からの監修となっており、
その内容は様々なこの病気に関するケースについて具体的な内容に言及したアドバイスが中心となっております
患者からの実体験や生活における工夫などもページの端に記載されております
以下、各章ごとのおおまかな解説です
まえがき:急性期、消耗期、回復期について 患者に対する包括的支援の必要性
第一章:統合失調症患者によるモデルケース
第二章:統合失調症患者における病気の経過(急性期、消耗期、回復期)における患者に対する接し方、周囲への対応、つらい一言などの対処法
第三章:統合失調症患者に対する家族の接し方、家族が抱える悩み、問題 それらに関する前向きな思考方法
第四章:統合失調症患者自身によるコミュニケーション方、工夫、伝達方法、心がけ、実体験によるアドバイス
第五章:統合失調症の治療のおける医療機関、相談室などの各支援施設による包括的支援の解説、伝達法、接し方、心がけ、メッセージ集など
以上、五章からなる構成をイラストやレイアウトなどを使用して、なるべく少ない文字数で解説をしています
本書を読んで私が感じたのは、全章の解説にも確認できることですが、重複している内容が多く各センテンスの概要が非常に理解しにくいという点です
ページを読み進めていても、同じような内容があった、とふいに何度も思うようなことがありました
客観的なデータも少なく、どちらかと言えば本書のタイトルどおりの内容で、
統合失調症患者自身ではなく、家族に対しての気構えなどの説明に終始しています
しかし、そうかと思えば、患者自身への気構えなどが急に挿入されるようになったりと、患者側の視点、家族からの視点、又は友人同僚などの視点など
ページやセンテンスごとに立場を置き換えて読み進むような構成になっており、内容自体もその都度理解を更新するためか
解説する内容に理解を深めるのが少し難しく感じました
気になる内容や自身の体験と同じものが確認できて、この病気に関する共同認識が得られても、どのページから遡れば良いのかもわかりずらくなってます
患者や家族のメンタルにも気を遣うのは非常に大切であり、治療を進めるにあたり効果的ではあると思いますが、
その都度本書のとおりに対応できるわけも無く、場合によっては家族や患者自身、本書を読んで日常生活に影響を来すこともあるのでは、と思いました
第一章の患者自身によるモデルケースについては、社会復帰も叶い、結婚ができるようにまで寛解した内容には驚きました
周囲のバックアップと早期治療における重要性が大きく理解することができます
しかし、私自身作業所から一般就労にまで回復し、再発を経験した身で、リアルに統合失調症における家族関係、施設の現状や仲間の環境を見るに
そういったケースは、まだまだ少ないのではないか、と感じました
扱うモデルケースはまさに、この病気の寛解では理想的な内容に近く、我々患者が抱える将来の展望には少々剥離しているように思います
それだからと言って、このモデルケースを扱わない理由にはならないとは思いますが、重複している内容を繰り返すのでは無く
更に具体的に記述する必要もあったように感じるのです
家族や患者自身のメンタルケアに終始する必要は本という媒体で熱心にする必要は無いのではないかと思います
なぜなら内容に対する理解もぼんやりしていてセンテンスを遡るのも不便な構成では、せっかくの心構えやアドバイスの効果も充分に発揮できませんから
本書において一番の疑問点として、統合失調症患者が日常生活を送るにあたっての事細かな工夫が数多く記載されている点です
正直、健常者の方でもここまで実践することは無いと思います
精神障害者だからこそ生活に工夫を凝らすのも理解出来ますが、それを実践する段階で疲れてしまうとも思います
要するに個々人がそれまでの生活でケースバイケースで編み出した方法であって、我々全てにそれが適用できるとは思いません
あれもある、これもある、全て記載するのは良いことです しかし先程指摘した通り、個々の解釈がぼんやりしているので
すぐに実践とまでいくには、重複した内容を何度も繰り返し読むことになって、結果実践できるかどうかは少し構成から見ても使いづらいように感じました
不満点として、ここまで家族や患者自身について細かく言及しておきながら、患者に対する包括的支援の情報が少ないと思います
NPO法人が監修しているなら、具体的なサポート情報に詳しく言及できるはずです
そのサポート情報も散在していたり、最後の1ページでさらりと解説するようでは、まだネットや他の書籍を参照にしたほうが早いです
また、NPO法人の発行する文書に寄稿して、患者どおしで交流を図るのも効果的だと思いますが、
私自身の経験から話すならば、実名で寄稿した場合、ネット上で公開されてしまうと、その情報がネットに残り続けていることになりますので
珍しい名前の場合は就労活動になんらかの影響があるともしれませんので、事前にその旨を確認するべきと指摘しておきます
新聞や小さい雑誌形態であれば、そのような心配もあまりありませんのでけっして寄稿するべきでは無い言っているわけではありませんので、ご了承下さい
本書を読むまでに、2冊ほどの気軽な書籍を読んでおりましたが、
イラストやレイアウトに凝った本書が一番読了するのに時間がかかったのは、けして私の体調や他の書籍の情報量の問題だけでは無いと強く思います
患者や家族に関して、なるべく誤解の無いよう、心身を軽くしてくれるように配慮している気構えは本書を読んでいて最初から最後まで感じました
しかし、本書を読むにあたって、まだ患者と家族間の理解がそれほど無い場合、ぼんやりとした認識で終わる可能性も少なくないと思います
客観的なデータと情報を知りそのうえで本書を読むのであれば良いと思います
患者と家族を取り巻く問題に疲れ、孤立した環境の中、患者間の共通認識を共有するには、救いを感じる読者の方も多いかと思います
最後に、統合失調症に関する偏見は今もまだ根強いです その理解を深めるには、一つの書籍だけではおそらく理解は足りないのでないかと思います
しかしネットでは正しい情報が手に入るとは限りません
ですから他の書籍を共に調べ、本書が訴えるとおり家族の方もどうか患者自身のことを見捨てずにその悩みをただ受け止めて欲しいと感じます
私の場合、家族は家族会に参加する事やこのような書籍も読むこともなく、その関係も冷え切ってしまいました
せめて、私の家族がこれらの書籍を読んでいてくれれば、まだ救われることもあったのかな、
と相互理解を訴える本書を読了して、感じる部分があったことを付け加えておきます