本書は、このような状況のなかで登場した新しい開発手法、統一プロセス(Unified Process:UP)の特定バージョンであるRUPについて解説したものだ。UPは顧客要求を実際のソフトウェアシステムに変換するためのフローであり、UMLと密接に関わっている。
本書は入門書という位置づけであるため、UPについての歴史的な流れの説明や基本部分の解説や、UPの定義する要求、分析、設計、実装、テストのワークフローの説明、そして、プロセスの定めるフェーズのうち方向づけ、推敲、作成のフェーズについて解説を行っている。最後に移行のフェーズを独立して取り扱っている。全体はインターネット書籍販売システムを例に一連のワークフローを解説する形式になっているので、どのようにしてUPを適用していくかを具体的に理解できるだろう。本書は『入門UML』と密接にリンクしており、本書で扱われるUMLの概念についてはすべて『入門UML』に委ねられているので、できれば2冊併用するのが望ましい。付録としてRUPの概要解説、XPとRUPの比較、ICONIXプロセスの解説がなされている。
UMLはソフトウェアデザインとして標準的な地位を築きつつある。UMLに則った開発フローであるUPは従来のフローよりも親和性が高く変化につよい柔軟な開発を行うことができる。本書では概念的な解説が中心であり、また開発のマネジメントについては扱っていないため、すぐにUPを開発に生かすことは難しいかもしれないが、UPのフローをつかむことはできるだろう。(斎藤牧人)
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