烏森の土地、2つの家、長きにわたる因縁が決着を迎える結界師、最終巻。
裏会の神佑地狩りをめぐる一連の事件が結末を迎え、まほら様の姿を借りた上位の存在の力で騒動は集結。
そしてついに烏森の「完全封印」が完成する。
大団円。
たしかにそうだ。
主人公が目的としていた完全封印が実現し、誰ももうあの土地で苦しめられることはない。
だが宙心丸、間時守、良守の母、彼らを含めた多数の人がこの騒動で失われた。
烏森の土地ではもっと多くの人が人生を歪められ、苦しんできた。
だが「今」を生きる良守と時音が「夢」を語れるようになったという点では確かに大団円だと言える。
息子を救いたかった開祖・間時守、家を継ぐことを嫌がった息子のため烏森の因縁を断ち切ろうとした母。
彼らは子供を救いたかった。
消え行くまで実体を得て息子と暮らせるようになった時守と、息子達との「これから」を捨て救おうとした守美子。
彼らはどちらも「親としての愛情」にあふれていたように思える。
人の心がわからないといった守美子も、息子のために努力しようとしていた。
愛してくれた夫との生活の中に少なからず救われた彼女は、曲がりなりにも「母の愛」に満ちていたのだろう。
真界の中に現れた大量のアヤカシ、その中にはかつて血の涙を流しながら消え去った土地神がいた。
お菓子づくりで意気投合した幽霊がいた。
そして、亡くなった友がいた。
自分の分身と肩を抱きあう「友」の姿を見て良守は何を思ったのだろう。
苦い完結。
だがたしかに救いはあった。
35巻にも渡る因縁に決着がつく最終巻。
作者の田辺イエロウ氏、長い間お疲れさまでした。